映画
1.ナイトメア・アリー オリジナル『悪魔の住く町』は未見。「40~50年代のフィルムノワールを過不足なく再構築するには?」という問いかけに対して、メインのポスターヴィジュアルに登場するケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、トニ・コレットらの役…
1.エターナルズ 「Beautiful,isn’t it?」と女が切り出した言葉から始まる数千年に渡る関係は、男が絞り出す様にやっとの思いで発した「I’m sorry.」という言葉と共に終焉を迎える。 2.NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS(17歳の瞳に映る世界) 少年/青年の〝数…
1.幸せへのまわり道 未就学児向けのテレビ番組で長年ホストを務める〝ミスター・ロジャース〟と、彼の記事を任される記者との交流の物語。ロジャースの番組のセットという体で、例の〝二つの塔〟が象徴的に写るが、これは恐らく、たかだか20年程しか経過し…
1.幸福なラザロ 〝大島弓子の原作をクストリッツァが映画化したような〟作品であり、果たして「そんな奇跡の様なコンセプトが結実し得るのか?」と思った貴方、是非観てください。 2.マローボーン家の掟 「特殊性があるとか映画にしか出来ない表現をしている…
マーティン・スコセッシのフィルモグラフィにおいて、実録犯罪物の礎を築いた作品に「グッドフェローズ」があるが、その中で印象深いシーンがある。 映画の中盤、主人公ヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)が足繁く通うナイトクラブにカメラが入っていくと、彼…
ベスト・ヴァージョン・オブ・ユアセルフ。最良の君を見せてくれ。本作の中で、ある人物が象徴的に何度か繰り返す言葉である。 最良の君を見せてくれ。男性である自分は、こういった言葉を他の、特に年上の男性などからかけられたことがあるだろうか?せいぜ…
「新しいアイデアというのは、新しい場所に置かれた古いアイデア」なんだそうである(出展)。 『A GHOST STORY』を観て、「死者にはかつての愛する人が見えるが、生者には見ることはできず、そしてお互いに触れることができない」「物には触れることができ…
グレイ・エンタープライズCEO:クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)は、出身大学の学生新聞の取材を受ける。取材当日に社に現れた英文科の学生:アナスタシア・スティール(ダコタ・ジョンソン)は、会話を進め親交を深める内にクリスチャンにある…
1. 『メッセージ』 2. 『ブレードランナー2049』 3. 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 4. 『20センチュリー・ウーマン』 5. 『沈黙』 『メッセージ』『ブレードランナー2049』同じ監督が手掛けた作品がその年の1位と2位になるなんてことは、今までな…
※小説『ブレードランナー 2、3』と映画『ブレードランナー 2049』の内容に触れています。 映画「ブレードランナー 」の続編が正式にアナウンスされた時、K・W・ジーターによる「2、3」の存在を知っていたので、それらの映画化ではない、新たな続編とし…
1. 『ザ・ギフト』 2. 『ウォークラフト』 3. 『キャロル』 4. 『セルフレス/覚醒した記憶』 5. 『溺れるナイフ』 ■1.ザ・ギフト ジョエル・エドガートン初監督作。この手のサスペンス/スリラーで監督デビューした俳優というと真っ先にイーストウッドの「恐…
「初めて恋の告白したのは、SNSでのやりとり」という経験をしている人は、デジタルネイティブ世代ではかなりの割合をしめるのではないだろうか。こうしたSNS上のやりとりで何が可能になったかといえば、一見フレンドライクな関係を保ちながら、DMやメッセー…
「スター・トレック」という作品のテレビ版と劇場版、両方に数回登場する「コバヤシマル」という宇宙船名がある。 同作品内の「コバヤシマル・シナリオ」という、宇宙艦隊アカデミーのシミュレーション課題に由来するものだが、このテストはどう行動しても敵…
ボストン・グローブ紙が、ボストンのカトリック教会の、とある神父による児童への性的虐待事件と、教会全体がそれに対して隠蔽工作を行っていた事実を告発し、最終的には国ですら干渉できなかったバチカンが非を認め賠償するに至った、という実話に基づく作…
長年連れ添ってきたゲイのカップルが、同性婚が認められるの機に正式に結婚するも、思いもよらぬ出来事により経済難に陥り、新婚早々にも関わらず友人などを頼って肩身の狭い居候生活を余儀なくされてしまう、というお話。 鑑賞中に驚いたのだが、この作品で…
クエンティン・タランティーノ8作目の映画である(今回はタイトルロールでご丁寧に「the 8th film by quentin tarantino」と大写しになる)。あと2本での監督引退を仄めかしているからか、なにやらジョン・カーペンター作品における「's」と同じような、た…
トッド・ヘインズの2002年の監督作「エデンより彼方に」で、プロダクションデザインを担当したマーク・フリードバーグは、撮影時を振り返り以下のように語っている。 「(ヘインズから)舞台装置っぽくセットを作ってくれ、と言われて驚いた。普段、他の監督…
1. 『インヒアレント・ヴァイス』 2. 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 3. 『ジミー、野を駆ける伝説』 4. 『パレードへようこそ』 5. 『誘拐の掟』 ■1.インヒアレント・ヴァイス 入り乱れる登場人物・所属団体・それぞれの思惑…という感じで最初はや…
ワッシュさんのベストテン企画に参加致します。 (順不同)(年代順に並べてみました) ・『紳士は金髪がお好き』(1953) ・『狂熱の季節』(1960) ・『スパイナル・タップ』(1984) ・『グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー』(1989) ・『アマデウス ディレク…
カナダの新鋭、グザヴィエ・ドランの新作は、カナダの近未来予測的な、架空の世界を描いた意欲作である。 発達障がいを持つ子供の親が、法的手続きを経ずに養育を放棄したり、当該の施設・病院などに強制入院させることが可能となる新法案がカナダで可決され…
・「エクソダス 神と王」鑑賞。 モーゼが神様から「黙って見ていろ」と言われた「10の災い」。 川は血に染まり、蛙・ブヨ・虻・が大量発生、疫病大流行、皮膚病も大流行、雹がガンガン降る、蝗も大量発生、雲でエジプト真っ暗、長子は皆死ぬ。 心身ともに極…
1. 『刺さった男』 (感想) 2. 『ニード・フォー・スピード』 3. 『ショート・ターム』 4. 『GODZILLA』(感想) 5. 『あなたを抱きしめる日まで』(感想) 6. 『大統領の執事の涙』 7. 『ゴーン・ガール』(感想) 8. 『ウルフ・オブ・ウォールストリート…
※内容に触れています。 妻:エイミー(ロザムンド・パイク)が失踪するその日の朝、夫:ニック(ベン・アフレック)が、わが町セントルイス州カーセッジを見渡すカットがある。そこでニックは、横断歩道を渡ろうとするホームレスの集団に目をやる。 ニックは…
今年もワッシュさんのベストテン企画に参加いたします。今回のお題は「アニメ映画ベストテン」です。そんなに熱心にアニメ作品を追ってはいないのですが、自分が印象に残っている作品を以下に10本ほどあげようと思います。順不同です。 ■ピクサー作品 ・『カ…
自分の身体の一部に刺さった鉄の棒が、熱され、その熱が脳に伝わり悲鳴を上げる。これは一体どのような体験だろうか?長年映画を観てきてこのかた、これほど恐ろしい場面にお目にかかったことがないような気もする。 アレックス・デ・ラ・イグレシアの2012年…
映画でも小説でも、「堕ちていく女」の話は、「堕ちていく男」の話のそれより多いような気がするのは気のせいだろうか? ラース・フォン・トリアーの新作「ニンフォマニアック」はvol.1とvol.2からなる、合わせて4時間の大作である。性に奔放な女性:ジョー…
近所のスーパーのワゴンセールで、廉価版が500円で売っていたため何の気なしに購入し鑑賞。が、これはちょっと今までスルーしていたのが勿体無いぐらいの異色作だったのでここに記しておく。 映画は主人公のジム(クリスチャン・ベイル)が兵士としてアフガ…
映画における残酷な描写の一つに「子供が死ぬ」という状況がある。主要なストーリーと関係なく、台詞もろくにないような子供が、例えば交通事故などで死んだとして、それはある種、三番手ぐらいの大人のキャラクターの死より鮮烈であったりする。 怪獣映画と…
先日、タランティーノもオールタイムのベストに入れるという(この人の“オールタイム”はしょっちゅう変動するので今もランクインしているかは不明)「ブレスレス」を観直す機会があったが、あまりにも面白く、監督のジム・マクブライドのことは以前から気に…
今年上半期に観た作品、それも実話ベースの作品を多く鑑賞したような気がしたが、それらの作品の中にある共通点があることに気が付いた。それは「本来であれば人を守るべきものが、一部の人間には時に障壁となって立ち塞がる」というテーマである。 『ダラス…