2021年公開作品ベスト10

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1.エターナルズ

 「Beautiful,isn’t it?」と女が切り出した言葉から始まる数千年に渡る関係は、男が絞り出す様にやっとの思いで発した「I’m sorry.」という言葉と共に終焉を迎える。

2.NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS(17歳の瞳に映る世界)

 少年/青年の〝数日間の男二人旅〟(そして旅の始まりと終わりでは多かれ少なかれ二人の関係に変化がある)的な作品は、それこそニューシネマの時代ぐらいから色々と綴られてきたと思うが、その〝女の二人旅〟版が満を持して登場。従姉妹という距離感が絶妙である。原題が非常に重要な意味を持つので、何故こういった邦題になったのかは理解に苦しむ。

3.ドライブ・マイ・カー

鑑賞時の感想

4.パワー・オブ・ザ・ドッグ

 メインキャラクター:フィルを演じたベネディクト・カンバーバッチの分析を以下に

「彼は若い頃に燃えるような恋愛を体験したがそれは容認されることも許されることもなく、話すことすらできなかった。その悲劇が彼を有害な男らしさの中に押し込んだんだ」 

ベネディクト・カンバーバッチ、有害な男らしさについて語る「”全男性が悪いわけではない”は言い訳」 | カルチャー | ELLE [エル デジタル]

5. 半島 PENINSULA(新感染半島 ファイナルステージ)

 世界がク・ギョファンという俳優を発見してしまった。

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6. あのこは貴族

 原作未読。第一章が始まる2016年と言えば、嘘と欺瞞で招致を勝ち取った詐欺師が地球の裏側の土管からマリオの格好で出てきた年であり、そこから物語を始めるのは明確な意図があるように思う。五輪に向けて変わり続ける東京は、人生の転機に向け物事が劇的に動き出すも全く実感がわかない華子の心象風景そのものだろう。

7. すばらしき世界

 己に渦巻く激情を飼い慣らすことを憶えてしまった、憶えたというよりはその身体に植え付けられた男の物語は、彼を俯瞰し記録し続けていた別の若い男に託され、その別の男にも漸く激情が渦巻き始めた所で映画は終わる。

8.ローズメイカー 奇跡のバラ

 何の予備知識もなく劇場に足を運ぶと、そこには見知らぬ世界への興味を促す語り口があり、観客を選ばず、感慨と共に映画館を後にする頃には、ほんの少しだけそれ以前とは世界の印象が異なって見える。そんな理想的な映画。

9.羊飼いと風船

 チベットの草原で牧畜を営む家族と、日本の都市に暮らす私とで「一体何が異なり何が同じなのか?」を思う時、特異点と親近感、それぞれが増す内容となっているが、それは差し出す普遍性を監督が確信しているからこそであるように思う。朴訥とスリルが同居する傑作。

10.すべてが変わった日

 描かれているのは「ならず者に日々の暮らしを乗っ取られる恐怖」であり、1966年のノースダコタを舞台に綴られる〝法や倫理が何の意味もなさない〟世界の物語が、2021年の日本に生きている自分にとって、全く他人事には思えなかった。

■総評:

 10本選んでみてから気付いたが、クロエ・ジャオ、エリザ・ヒットマンジェーン・カンピオン、岨手由貴子、西川美和の五人、ちょうど半分が女性監督である。年代も30代から60代まで、作風もSF/ファンタジー、様々なドラマといった具合に多種多様。20102011年のベストを振り返ってみたが、その二年を合わせても女性監督はドリュー・バリモアローラーガールズ・ダイアリー)のヤスミラ・ジュバニッチ(サラエボ、希望の街角)のたった二人であったことを考えれば、ここ数年で状況が一気に変わって来た感じがある様に思う。

 

次点

ただ悪より救いたまえ/グロリア 永遠の青春/天才ヴァイオリニストと消えた旋律/ファイター 北からの挑戦者/モーリタリアン/ビルド・ア・ガール/DUNE 砂の惑星トムボーイサウンド・オブ・メタル/殺人鬼から逃げる夜/モンタナの目撃者/白頭山大噴火/ソボク/アメリカン・ユートピア/グリード/幸せの答え合わせ/ファーザー/約束の宇宙/ロード・オブ・カオス/21ブリッジ/ラーヤと龍の王国/野球少女/ある人質 生還までの398日/ベイビーティース/swallow

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アイウィルフェイスマイフィアー!

皆さま良いお年を!