2019年公開作品ベスト10

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1.幸福なラザロ

 〝大島弓子の原作をクストリッツァが映画化したような〟作品であり、果たして「そんな奇跡の様なコンセプトが結実し得るのか?」と思った貴方、是非観てください。

 2.マローボーン家の掟

 「特殊性があるとか映画にしか出来ない表現をしているとかいうのとは違う、言葉にされることを頑なに拒んでいる感じ。だからこの映画について語るには映画の中で会うしかない。」とはツイッターフォロイーさんの言葉

 3.ある少年の告白

 〝アライになれるはず/なるべき人間による背信の罪深さ〟といったことを改めて思い知らされる作品。LBGTQという問題を扱う時、ラストの「歩み寄れる側こそが歩み寄るべきである」というシンプルで力強い問い掛けが余韻として残る。

 4.ラスト・クリスマス

 こちらも上記『幸福なラザロ』同様に〝大島弓子がすでに描いていそうな話〟であり、繊細さというメインディッシュにはユーモアという名のお皿が用いられ、2019年暮れの英国における世知辛い国内事情がスパイス的にまぶされる。

 5.アイリッシュマン

 驚いたことに小津安二郎作品のような瞬間が何度かあり、内容的にもだんだん中村伸郎(ペシ)と佐分利信(パチーノ)の間を右往左往する北竜二(デ・ニーロ)みたいに見えて来て笑ってしまった(⇨メモリーズ・オブ・マーダー 『アイリッシュマン』 - スキルズ・トゥ・ペイ・ザ・¥)。

 

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6.毒戦 BELIEVER

 ジョニー・トーのオリジナルとは同じことを描きながら全く別の話になっており、90年代を代表する〝とある米製インディノワール〟と同オチを用いながら、韓国ノワールらしい男と男の愛と憎を描いた作品になっていた。

 7.ゴールデン・リバー

 〝死なない兄弟〟荒野を行く。終盤の「弟は(ある出来事)以来、変わってしまった。兄の俺がやるべきだったんだ」という台詞はマイケル・ギルモアの「心臓を貫かれて」を想起する。西部劇のフォーマットで、新旧世代間の家父長制に対する呪縛の違いを描いている。

 8.サスペリア

 ダコタ・ジョンソンの「器/容れ物」感が素晴らしく、その素質を転じてオチとする結びも素晴らしかった。足元にあるのは「つまづきの石」。

 9.キャプテン・マーベル

 「笑えよ」と男に言われて愛想笑いしない女。「最高の君を見せてくれ」と言われて「あんたにわざわざ証明する必要はない」と返す女。これからも色んな機会でこの映画のことが引用されると思う(⇨「最良の君」という呪い 『キャプテン・マーベル』 - スキルズ・トゥ・ペイ・ザ・¥)。

 10.ひとよ

 同監督の「凪待ち」に続いて2010年代の終わりにしてまるでATG映画のようであり、松岡茉優という現邦画界のトップランナーが、同じく〝正攻法もオルタナティブもイケる〟田中裕子という世代の違う怪優と、一つのフレームに収まっている様に物凄く興奮した。

 

次点

スパイダーマン:スパイダーバース/フリーソロ/スノー・ロワイヤル/ベン・イズ・バック/僕たちのラストステージ/THE GUILTY ギルティ/ビール・ストリートの恋人たち/サラブレッド/エイス・グレード/ガーンジー島の読書会/存在のない子供たち/スパイダーマンFFH

チャイルド・プレイ

 

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