貴方だけは特別なの。「making of LOVE」


古澤健監督(id:Full2yn、待望の新作!一足お先に内覧試写で拝見いたしました。
ファーストカット。大空に羽ばたく鳥に、長い髪をなびかせるヒロイン:ゆかり(藤代さや)の姿がオーバーラップする。映画を見終えてからこのファーストカットのことを思い出すと、実は非常に泣ける幕開けだったりします。そう、この物語は、孤独な魂が、自らのアザーハーフを求めて彷徨い、そして二つが一つになるまでを描いたロマンティックなラブストーリーなのでした!

2010年5月。 
『オトシモノ』『ロスト☆マイウェイ』でなどの作品で知られる映画監督ふるさわたけしの新作がクランクインした。
しかし、主演をつとめた青年の謎めいた失踪によって撮影は中止を余儀なくされた。
これは未完成に終わった一本の映画の記録である。

何やら謎めいた導入により、物語はモキュメンタリー風に進行していきます。このモキュメンタリーパートで重要な語り部となるのが映画監督:ふるさわたけし。古澤監督が自ら演じています。彼の曲者っぷりというか、トリックスターっぷりが結構凄くて、実録風に展開する物語に華(?)を添えています。
自分の映画に出演してくれるヒロインを探していた映画監督:ふるさわは、「性交渉の記録をビデオテープに残している」という謎の美女:ゆかりと出会います。彼女の記録をカメラに収めようとする辺りから、物語は急展開。なんと、ゆかりと性的関係を持った男は、彼女に関する記憶を全て失っていた、という事実が判明し、次第にSF/ミステリー的な様相を呈していきます。
それ以降〜驚愕のラスト(!)は、皆さんにも劇場に足を運んで頂くとしまして、ここでちょっと個人的な話を。
実は自分も学生時代は自主映画を作っていまして、映像サークルで監督・脚本・出演など、色々とやっていたわけなんですが(そうでも宣言しないと誰も動かないから)、「making of LOVE」を観て、その学生時代の自主映画制作のことを思い出して非常に懐かしい気持ちになりました。
当時は確か、アッバス・キアロスタミの「オリーブの林をぬけて」にショックを受けて、自分でも「実際に付き合っているカップルを主演に恋愛映画を撮るが、何やら二人の様子がおかしい」という、丸パクリというか、(言い方を変えて)オマージュを捧げる映画を作っていました。その作品では「喧嘩していた二人が撮影を通じて仲直りをする」という結末を用意して、その現実パートで幕切れになるかと思いきや、監督役の自分がフレームインして「カット!」と声をかける、という「シベ超」の先駆け(!)のようなことをやっていました。
今回、「making of LOVE」にエキストラで出演した際に「映画を撮る話」と概要を聞いていたので、自分はその学生時代のことを思い出して
「キアロスタミの『オリーブの林をぬけて』みたいなヤツですか?!」と興奮気味に聞いたら
「いや、もっと『ボラット』みたいな感じかな?」
と返されてしまいました。

本公開は8月29日(日)より、ポレポレ東中野にてレイトショー公開です!