2013年公開作品ベスト10&その他
1. 『ジャンゴ 繋がれざる者』 (感想)
2. 『アウトロー』
3. 『ザ・マスター』 (感想)
4. 『ウィ・アンド・アイ』 (感想)
5. 『エリジウム』 (感想)
6. 『ハンナ・アーレント』
7. 『デッドマン・ダウン』
8. 『ルームメイト』
9. 『ザ・フューチャー』 (感想)
10. 『わたしはロランス』
1. 『ジャンゴ 繋がれざる者』 観た直後に今年のベストになるであろうな、と予想して本当にそうなった。QTがただの映画オタクでパスティーシュだけで映画を創ってきたわけではないことは、終盤の奴隷頭:スティーブンの複雑な人物造形を見れば一目瞭然である。
2. 『アウトロー』 初監督作品「誘拐犯」が大傑作であったクリストファー・マッカリーの、実に13年ぶりの監督第二作。ほとんどのショットがFIXかドリー/ステディカムによって構成されており、昨今のアクション映画に多く登場する手持ちカメラによるブレブレのショットがほとんど無い。シベリア抑留時代に凍傷になる前に自分の指を噛み千切った、というヴィラン役のヴェルナー・ヘルツォークが強烈な印象を残す。
3. 『ザ・マスター』 「華麗なるギャツビー」にしろ「オン・ザ・ロード」にしろ、その当時を生きた若者が「どう生きたのか」を、現代の若者の感覚で追体験させてくれる作品はそれだけで貴重と言える。しかし、こうした試みは必ずしも上手くいく訳ではないが、「ザ・マスター」はその類い稀な成功作となっている。
4. 『ウィ・アンド・アイ』 ミシェル・ゴンドリーというとトリッキーな側面ばかりが取り沙汰されて、こういう堅実な作りの青春映画路線の評価がいまいち低いような気がするけどそれはなんだか納得いかない。「うたかたの日々」も良かったけど今年の10本に入るのはこっちで。
5. 『エリジウム』 「『第9地区』に比べて…」という感想をよく見かけたし評判もあまり芳しくなかったようだけど、先日観た「キャプテン・フィリップス」といい、どうしたって悪役の方の事情に色々と想いを巡らせてしまう作りになっていると思う。
6. 『ハンナ・アーレント』 2011年の『復讐捜査線』と同じ枠で、「今、日本で、この作品を観る」という意味が物凄くあったように思う。
7. 『デッドマン・ダウン』 「ドラゴン・タトゥーの女」スウェーデン版を撮ったニールス・アルデン・オプレヴのハリウッドデビュー作。特AランクのB級映画としか言いようがない映画で、そして驚いたことにこれはそのまんま「村木と名美」の物語でもあった。石井隆ファンは必見。
8. 『ルームメイト』 古澤作品の中では一番好き。深田恭子・北川景子・高良健吾というメイン三人の役者の魅力を引き出しながら、娯楽作の枠で、予告の感じからは想像も付かなかったかなりシリアスな主張もある。今後、古澤監督の良い意味での職人作家的な傾向が加速するような気がする。
9. 『ザ・フューチャー』 ミランダ・ジュライと同年代の人間としては、色々と突き刺さった映画であった。ブログ更新したりツイッターやFB覗いてる場合じゃない(「ブルー・バレンタイン」の時も同じこと言ってた)。
10. 『わたしはロランス』 監督のグザヴィエ・ドランが制作時に22〜23歳だったという早熟ぶりにも驚かされるが、異形の者の物語をソープオペラみたいな鋳型にブチ込んでメロドラマティックな3時間近い大作にしてしまうその手腕にも驚愕した。
■泣く泣くベスト10本から剪定した作品
『眠れる美女』『ペーパーボーイ 真夏の引力』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』『アルバート氏の人生』
『42 世界を変えた男』『ある愛へと続く旅』『マジック・マイク』『キャビン(感想)』
『タイピスト!』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』『セブン・サイコパス』
『バーニー/みんなが愛した殺人者』『君と歩く世界』『故郷よ』『恋するリベラーチェ』
『ファインド・アウト』『キャプテン・フィリップス』
今年は例年になく充実していたように思う。ここに挙げた作品群だけでもジャンルがバランバランなのもそれを象徴している。
■旧作&ドキュメント
・旧作
『アギーレ 神の怒り』『フィツカラルド』
『マルタ』『ローラ』『マリア・ブラウンの結婚』
『白昼の襲撃』『狂熱の季節』『女ばかりの夜』
『山猫』『赤い靴』『白夜』
・ドキュメント
『ビル・カニンガム&ニューヨーク』『ファースト・ポジション』
『フタバから遠く離れて』『フラッシュバック・メモリーズ』『選挙2』
『自由と壁とヒップホップ』『塀の中のジュリアス・シーザー』