ツワリ・ティーンエイジ・ライオット 〜ジュノ〜
「JUNO/ジュノ」を観ました(@109シネマズMM)。
16歳の女の子:ジュノは、同級生のポーリーと出来心でワンナイトアフェアを楽しんだら見事命中!さて困った!産むの?堕ろすの?どうすんの?!というお話。
「ナポレオン・ダイナマイト」的な、妊娠に端を発したティーン目線の青春ドラマ/コメディ、というような感想をいくつか見かけましたが、実際には「ナポレオン〜」との共通点といえば「郊外が舞台」「オフビートなテイスト」という二点ぐらいで、まさか「ジュノ」が世代論的なものまで問い掛けてくるとは思ってもみませんでした。
先にも記したように、「妊娠」はあくまでもシチュエーションとして、それ以上でも以下でもなく、「妊娠が発覚してから」のドタバタは潔くすっ飛ばし、ジュノの家族、養子縁組に決まったカップル、お腹の子の父親であるポーリー、親友の女の子、などなど、新たな状況下でいかに人間関係の構築を計るか、というテーマがメインとなっています。
中盤以降、物語の重要な鍵となる養子縁組カップルの夫:マークとジュノとの関係。一見、どコンサバな夫婦に見えたが実は夫は元バンドマンで、パンクロック好きのジュノと意気投合する、という展開があります。ソニック・ユースがカバーするカーペンターズ「スーパースター」をジュノに聴かせ「このカバーはアレンジが最高なんだ!」と熱弁を振るうマーク。それを尊敬の眼差しで見つめるジュノ。自分を含め、90年代に青春を謳歌した30代男性はこんなシーンをニヤニヤしながら観るんでしょうが、これが実は大きな伏線になっていて、オチに至っては目も当てられない批判となるのには、正直冷や汗をかきました…。
90年代、それはスラッカーであることがクールだった時代。そうしたアティテュードは映画や音楽に多大な影響を及ぼしていると言えるでしょう(BECK、トレインスポッティング、バッファロー'66、etc…)。アンクールこそクールである!という主張も、この時代ではよく見られた気がします(パイプをくわえて変なサングラスをしたり、ジュノにもそうした素質は見受けられる)。
元バンドマンのマークは、メルヴィンズの前座を務めた(という設定)ぐらいには、スラッカーサイドの人間。現在はCM音楽を制作したりして生計を立ててはいるが、自分が現役であった93年を「ロックのゴールデンエイジ」などと言ったりする。
対するジュノは「70年代後期のパンクロックと、ホワイトストライプスが好き」と返す。彼女にとって「93年がロックのゴールデンエイジ」などという感覚は、オッサンの戯言でしかない。
終盤、マークのルーザー/スラッカー気質が露わになるときのジュノの態度。世代間の断絶は確実な物となります。
また、(監督である)ライトマンは、ジュノのような、そして一見ダメなように見えるポーリーのような若い世代の屈託のなさ(といまは、月並みな言葉しか浮かばないが、ポスト・スラッカー的な磊落なしたたかさないしは自然的態度)のなかに、新しい可能性を見ているようだ。
00年代における、いわゆる「成人」の描かれ方の一つの形を「ジュノ」に見た様な気がしました。以下に、そうした観点での関連作をいくつか。そろいも揃って郊外が舞台という点も非常に興味深いです。
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余談ですが、劇中、ジュノの高校の化学教師がカット・ケミスト(!でも台詞ナシ)というハイブリットなギャグがあります。
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