文系バカップルという生き方 「イエスマン」
「イエスマン “YES”は人生のパスワード」を観ました(@109シネマズMM)。
自己啓発セミナーで、何事に対しても「イエス!」の決断をしろ!という契約を成り行きで結んでしまった主人公カール。するとどういう訳か、灰色だった人生は好転し始め、彼の前にはアリソンという理想の女性も現れるのだが…というお話。
映画の内容は、山場でちょっとした誤解があり、別れを告げられてしまった男は女にどう弁明するのか?!→多幸感に満ちたエンドロール!と、まさに王道とも言えるラヴコメで、楽しいし安心して観ていられる佳作、といった感じでした。
自分がこの映画で斬新だな、と思った点は、恋愛という観点において、先進国ではいよいよ差異/特異点は見当たらなくなってきたな、という所でした。
例えば、画像はハリー・ポッターのコスプレパーティーに参加するカールとアリソン。この脱力感はもはやアメリカ固有のものでもなんでもなく、日本でも毎週末のように、どこかで繰り広げられている光景でしょう。アリソンがVoとして活動する脱力系NWバンドをカールが見に行ったのをきっかけに二人は付き合いをはじめますが、その後も「ハリウッドボウルに忍び込む」「上司の誘いでハリポタコスプレ」「行き当たりバッタリで自殺志願者を助ける」「行き当たりバッタリで飛行機でド田舎(リンカーン州ネブラスカ)を目差す」「そこ(ネブラスカ)の電話博物館にノリノリで行く(客はゼロ)」などなど、そこには日本国内のカップルに置き換えてもさして違和感の無い行動、そして「アンクールこそクール!」という90年代的価値観も強く現れているような気がしました。
そして、もはやアメリカにおいても、バカップルの定義は、人前でキスしたりハグしたり、そういう風に「バカなカップル」としてイチャつくことなどではなく、人目があるところでは過度にイチャつかず、価値観を共有すること第一とし、それを共有するために行動を起こす「カップルでバカをする」という具合にシフトチェンジをしているのではないか。「イエスマン」の二人を観て、そんなことを思いました。
「イエス!」と言い続けるカールをハイパーに演じるジム・キャリーはひとまず置いておきまして、特筆すべきはアリソンを演じるズーイー・デシャネルですよ!
「ジョギングをしながらポラロイドカメラで写真を撮る」教室の講師でもある彼女は、上記のミュンハウゼン症候群という変なバンドで活動しながら、ボランティア(ホームレス支援?)にも精を出す、という、まさに各国の文系男子を瞬殺すべく送り込まれた最終兵器。実際に付き合ったら絶対にメンド臭いに違いない(!)こんな女子をメインキャラに持ってくるなんて、さすがは「チアーズ!」では(当時まだそんなにメジャーではなかった)キルスティン・ダンストを、「恋は邪魔者」ではレネー・ゼルウィガーを起用したペイトン・リード(本作の監督)ならではだなぁ、なんて思ったりしました。
以下には知っておくと「イエスマン」より楽しく鑑賞できる関連動画をに貼っておきます。