一緒にトースト食べませんか? 〜ナチョ・リブレ〜

ナチョ・リブレ 覆面の神様を観ました(@109シネマズMM)


ナポレオン・ダイナマイトの監督、ジャレッド・ヘスの二作目は、今やすっかりスターになってしまったジャック・ブラックを主演に迎えたプロレス物!脚本はスクール・オブ・ロックのマイク・ホワイト!ってなことで、本年度有数の注目作・・・のはずが・・・まぁ期待度が異様に高かったせいもあると思いますが、正直あまりノレない感じの作品になっていました。

まだ二本しか監督作を観ていないので何とも言えませんが、基本的にジャレッド・ヘスって言う人は役者の芝居をギリギリまで抑制しつつ演出をするような人だと思うのです。「ナポレオン・ダイナマイト」における、ナポレオンやその兄キップ、友達のペドロといった、一見とても俳優とは思えない得体の知れない人が画面に写るだけで面白かったのは、彼らに時折「ボソッ」と聞き捨てならない台詞を言わせたり(「ホクロが取れた」っていう台詞は神懸っていると思う)、時折スラップスティックを盛り込んだり(アンクル・リコがオレンジをぶつけられた時の、あの“のけ反り”!)したからこそ。芝居的な要素を徹底的に排除さたからこそ出せた面白さなのだと思います。それが今回は・・・
 
予想はしてたけど・・・もう完全に“出オチ”じゃないですか!後はもうひたすら「面白いことをするJB」の確認作業ですよ!
恐らくジャック・ブラックっていう人は、ああ見えて物凄く周囲に気を使う繊細な人だと思うので、ジャレッド・ヘスが抑えに抑えた演出を要求したなら、それに応えられる人だと思うのです。それが、仕上がった作品を観ると、監督が自分の演出における信念を曲げてまでもJBを立てていたり、中途半端に放し飼いにしている様が伺える窺えるような気がします。そして、私的爆笑のピークは、まるでこれまでの物語を積み上げを完全に否定するとも言える(と言うのは大袈裟かも知れませんが…)クライマックスにおいてJBがナチョという人格から離れ、完全に放し飼いになり歌を歌うシーンでした(id:S2D2さんのコチラを参照)。
監督2作目にして、思いがけずスターの出演が決まる。それによって、観客のキャパもグン!と拡がる。きっと、そういったビビリもあったのでしょう。だがそこは、自分の確固たる信念を貫いて欲しかった。夢のドリームタッグは、「アンディ・ギルがRHCPのアルバムをプロデュース!」みたいなションボリした結果に終ってしまいましたが、是非ともジャレッド・ヘスには次回作でまた頑張って欲しいと思います。

追記:「ナポレオン・ダイナマイト」のアイダホ同様、箱庭感覚でメキシコの風景を切取ったカメラは凄く良かったです。