メロドラマの巨匠:ダグラス・サーク諸作品を鑑賞 その1
「ダグラス・サーク」という名を初めて耳にしたのは「パルプ・フィクション」の「ダグラス・サーク・ステーキ」である、という人は、自分と同年代には結構多いのではないかと思う。その時はもちろん、それが俳優の名であるか監督の名であるかもわからぬ次第で、しかしその後に映画を体系だって遡っていくと色々な監督の関連作として結構な頻度で耳にする名前ではあった。
いつかはまとめて観たいなぁと思っていたところに、自分の通勤圏内のやや大きめの某レンタルチェーンに、2007年発売のボックスセットの7作品全てがあるとわかり、まとめて鑑賞。その以下に感想を。
■僕の彼女はどこ?(1952)
所謂「人生やりなおせたら」系のコメディで、箱庭的な郊外のとある町を舞台に、チャールズ・コバーン演じる金持ちのお爺ちゃんが大活躍する「年寄り無双」映画。このボックスセットの作品の中ではトーンがやや異なるが、コメディが本職だったのではないか、と思えるほど小気味良い作品となっている。
■心のともしび(1954)
変わり身で得た生!禁断の愛!不慮の事故!不慮の事故で失明!(失明!!)ヨーロッパの名医の元で手術!相思相愛だが相手を想うばかりに身を引く!……などなど、コテコテとかそういう例えすら追いつかない高濃度のメロドラマ。ベタだの通俗だのといくら侮蔑されようが、確固たる信念を持って突き通せばとてつもない強度となる、という良いお手本のような気がする。同じく日本のメロドラマの巨匠といわれた成瀬巳喜男の遺作である「乱れ雲」に、本作が与えた影響が垣間見えるのではないか。ロック・ハドソン&ジェーン・ワイマンのコンビは次の年の「天はすべて許し給う」↓でも共演。
■天はすべて許し給う
恐らくは「エデンより彼方に」に多大なインスピレーションを与えた、とのことで記憶していた作品だが、その後にサバービア関連の映画のことを調べていると必ずといって良いほど例に挙げられていたし、どんなに凄い映画なんだろうと思っていたけど、本当に凄い作品だった。「サバービア映画ってどんな映画ですか?」と問われたなら、これ一本観ればほぼ理解できるような映画になっていた。テレビをプレゼントされる場面がちょっとなんぼなんでも酷すぎて笑ってしまった。
「エデンより彼方に」予告
(その2に続く)
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