娘なる証明「ローラーガールズ・ダイアリー」


テキサスはボディーンという片田舎に暮らす高校生の女の子が、ふとしたきっかけでローラーゲームと出会い、成長していく物語。
ドリュー・バリモアが初監督に選んだ題材は、恐ろしく既視感のある、ある種「凡庸」と言い切ってしまっても間違いではない青春映画でした。しかしながら、自分はこの「今までに100万本は生産されてきたであろう」青春映画の鋳型を用いて、ドリュー・バリモアという人が真剣に映画と対峙しようとしている様に非常に心を打たれてしまいました。現時点ではブッちぎりで本年度No.1の作品と言って良いでしょう。
本当に素晴らしい映画に出会うと、ちょっと言葉を失ってしまうというか、何も言うべきことがなくなってしまって、「とにかく観て!」としか言いようがないのですが、それではあんまりにもアレなので、良かった点を以下に羅列しておきます。

  • ローラーゲームを題材にした映画に思えるけど、支柱としてある太い太い柱は、やはり「母と娘の物語」でしょう。
  • ストライパー*1のTシャツが出てきた時には「ああ、また“アンクールがクール”みたいなヤツですか…」と食傷気味だったんですが、それを親子の橋渡しをするこんな重要なアイテムとして活用するだなんて!と感動しました(原作/脚本に既にあった設定なのか、ドリューのアイデアかはわかりませんが)
  • エレン・ペイジ演じるブリスが後半に、とある状況が積み重なってテンパってしまい泣く、という彼女の出世作「ジュノ」と同じような展開をするシーンがあるのですが、あの映画の100倍ぐらい良いです(まぁ好みの問題でしょうけど)。
  • コーチ役のアンドリュー・ウィルソン(ルーク、オーウェンの兄!)がとても良かった。チームのみんなからはちょっと馬鹿にされているんだけど、皆を公平に評価して、引き締めるところは締めるムードメイカー的な感じ。

 ←こんな人

  • コーチだけでなく、母親役のマーシャ・ゲイ・ハーデンも、親友役のアリア・ショウカットも、ボーイフレンド役のランドン・ピッグも、みんな奇跡的に良い。現場はさぞや良い雰囲気に満ち溢れていたんだろうなぁ、というのはエンドロールの映像からも察しがつきます。そして何より、敵役のジュリエット・ルイス!!!

  • もうとてもお芝居とは思えないハマリっぷり。ジュリエット演じるアイアン・メイヴィンが「アンタ幾つ?アタシは今年で36になるんだけど」とエレン・ペイジに迫るシーンでは「あ、(彼女の)実年齢だ…」と思ってグッときてしまいました。
  • そして、最終決戦前、ブリスとアイアン・メイヴィンが、シネスコの画面のド真ん中で火花を散らす、あのカットの高揚感をなんと喩えましょう。
  • 恋する二人の一時の別れを演出するシーンで、レディオヘッドの「あの曲」が流れます。レディオヘッドと言えば「KID A」より断然「OK COMPUTER」!という、90年代半ば〜後半に青春を送った人は、きっと悶え死んでしまうのではないでしょうか。
  • とにかく、とてもこれが初監督作品とは思えない手腕で、ドリュー・バリモアという人は、私たちの前に素晴らしい作品を、その第一歩を刻んでくれました。もう一生付いていきます!としか言いようがない。見逃し厳禁!必見です!


Whip It
Whip It
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Original Soundtrack
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↑節操のない、ごった煮感覚がめちゃくちゃ楽しいサントラ。オススメです。



ローラーゲームというと、ルシャス・ジャクソンのこのPVを真っ先に思い浮かべてしまいます(「クルーレス」!)




*1:ストライパーについては町山智浩氏のコチラを http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20041109