「シルミド」を観ました。
確かに色んな所で言われているように「東映ヤクザ映画」ですね、勝新出てくるし。
韓国に侵入した北の暗殺部隊に対し、「そっちがその気ならこっちにも考えがある!」と、ならず者共を「お国の為に働いてみないか?」とリクルート。金日成を暗殺するための精鋭部隊として無人島で鍛え上げたが・・・というお話。
色々とタイプはあると思いますが、ザックリ言って仁侠映画って「耐えに耐えて耐え抜いたが、もう我慢ならねえ!」とドスを引き抜く主人公に「いよっ!待ってました!」と合の手を入れられるかどうかにかかっているのような気がするんです。
ところが「シルミド」の場合、その「我慢ならねえ!」という対象が最終的に「金日成」に向かわなければならないはずが、お話の展開上では致し方ないにしろ「暗殺作戦の中止と部隊の抹殺を命じた国とKCIA」に向かっていて、どうもその辺が釈然としない、と言いますか。実際に起きた事件をモチーフにしているので、そういうオチにしたのは納得できるし、充分に「♪無念さ〜と、切な〜さと、やるせなさ〜ぁ〜と〜」は伝わってくるのですが、どうせ「based on true story」でウソをつくなら「本当に北に侵入、金日成を暗殺しに行き、そして全滅」ぐらいまでやっても良かったのではないか?と思うんです。
でもフォローとして、命令中止となるまでの流れはホントに良かった。
よく恋愛映画で「ここは男にはわかんないよねぇ〜!」とか女性が仰るシーンがありますが、物語の中盤「いざ出陣!祖国統一の為に金日成の首を取って来いハムニダ!(c侍クンフーさん)」と出撃前に隊長が部隊を鼓舞するシーンで憶える高揚感を、これまた残念ですが女性に上手く説明する術を私は知りません(このシーンで無駄に大雨が吹き付けるのも圧倒的に正しい)。先日「ブラザーフッド」で「戦争ヤダ!」との思いを新たにしたばかりなんですけどね・・・。
とまぁ、そこそこの佳作ではあると思いますので、ご興味がおありの方は是非ご自分の目でしかとお確かめになるとヨロシ。