「ナイロビの蜂」を観ました(@109シネマズMM)。
「シティ・オブ・ゴッド」で衝撃のデビューを果たしたフェルナンド・メイレレスの第二回監督作品。最初に言ってしまえば「シティ・オブ・ゴッド」の高みまでには達する事が出来なかったように感じました。以下雑感。
「ちょっぴり大人のラヴストーリーがやってみたいんだよね」「それもちょっと謎めいたサスペンスタッチの」「国絡みの黒い陰謀!得体の知れない連中から脅されたりする!」「それがアフリカを中心に展開する」「そうそう、もちろんアフリカの悲惨な現状も踏まえつつね」「いや、俺さ、自分で言うのもアレだけどニガタン好きでしょ?!ブラックイズビューティフル!彼らの造型の美しさはもちろん、しなやかかつ躍動感に溢れている感じとか、そういうのも描きたい」「つまりは、合理主義者で受動的だった男が、妻の死をきっかけにメンタルもフィジカルも逞しく変わっていく話」
どれか捨てろ、って話ですよ。
いや、決して映画として破綻はしていないと思うんですが、換わりに色々なテーマを盛り込んだために濃度は薄まったような気がします。イギリス勢で固めた俳優さん達も、主役の2人はもちろん、脇の人々も良かったですよ。ビル・ナイ、ピート・ポスルスウェイトという辺りの重鎮が曲者を演じ、レイフ・ファインズの同僚を演じたダニー・ヒューストンのイヤらしい感じ(アンジェリカ・ヒューストンの弟だって!)とか、あと「憎しみ」で知性派ニガタンを演じていたユベール・クンデの姿がレイチェル・ワイズの同僚役で拝めたし。
でも何かが足りない!「シティ・オブ・ゴッド」よりは確実に一般ウケが見込めそうな作品ではあると思いますが、何だかモヤモヤしながら劇場を後にするに至りました。
あと「ロード・オブ・ウォー(感想)」にせよ、深町先生のこのエントリで知った「ダーウィンの悪夢」にせよ、「ナイロビの蜂」でも製薬会社が第三世界を食い物にする構図が描かれていて、またもや「シネコンでのうのうと映画なんか観てる自分たちに一体何が出来る?」というある種の“ザ・無力感”に襲われるのですが、まぁギャガさんがこんな宣伝やらお抱えのコピーライターが考えた素晴らしいコピー「地の果てで、やっと君に帰る」に釣られてラブストーリーだと思って観に来た観客に、そうしたアフリカのヒドイ状況を知って貰うだけでもマシなのかなぁ、とか色々考えたりしました。
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「シティ・オブ・ゴッド」は本編の元になった短編映画と子供達と芝居を組み立てていくワークショップの模様がわかるドキュメントなどが収録されているので、是非とも二枚組みの方をオススメします。