『息子 2 南アフリカからの手紙』 〜ツォツィ〜

ツォツィを観ました(TOHOシネマズ横浜)。

「南アフリカ版『シティ・オブ・ゴッド』!」みたいな煽り文句を聞いて、あの作品には少なからず衝撃を受けましたし「それ絶対面白いに違いないじゃんか!」と公開初日に行き勇んで観てみたらまんまと釣られました。全然そんな映画ではないです。共通項を無理から見出すならそれは「お話の舞台がゲットー」っていうだけで、映画の感じとしては「クラッシュ」や「アモーレス・ペロス」といった「“異文化人情物”オムニバスの中の一遍」的な小品、とでも言いましょうか。過度な期待はせず、なおかつ鑑賞前にそういった予備知識があれば、それなりに楽しめる作品かも知れません
各国のゲットーを描いた映画というと、「憎しみ(仏)」でも「シティ・オブ・ゴッド(ブラジル)」でも、まぁ「ウォリアーズ(米)」でも良いですけど、その国々の特色、お国柄みたいなものを反映していて、そこに何某かの意義があると思うのですが、この「ツォツィ」に関しては、そういう点がほぼに欠如していて、いわば「どこの国のゲットーに置き換えても通用してしまう話」になってしまっているのがちょっと惜しい所だと思いました。

強いて言えば、エイズが蔓延していたり、アッパー/ロウワーの居住区が荒野(この荒野の土管に、ストリートチルドレンが暮らしている)を挟んで分断されていたり、という感じは、南アフリカ独特の世界観として切り取られていて、そこは良かったと思います。
「人間(子供)の性悪説を傍観して語り継いで行け」という結論に辿り着く「シティ・オブ・ゴッド」とは対照的に、山田洋次大先生ばりの性善説で結ぶあたりからも解るように、「ツォツィ」は“青少年に向けての啓蒙映画”としては百点でしょう(ここはひとつ、洋次原理主義者であるこの人に感想をお聞きしたいところです。)。
図らずもR-15指定になってしまいましたが、この映画より“幼児が生後間もない赤子を殺そうとする”描写がある「パフューム」がPG-12ってのは本当にどうかしていると思いますけど…