Do You Find Me Sadistic?

Dirk_Diggler2004-04-17

キル・ビル vol.2」を観ました。


昨晩は「vol.1」も併せての上映だったんですが、観直して(3回目)思う事があったので書き記しておきます。


まず青葉屋でのクライマックス。
黄色いトラックスーツの金髪女が、純白の着物を着た中国/日本人のヤクザの女親分と、日本刀で対決する。舞台は雪がシンシンと降る日本庭園を模したセットで、そこに流れるのは4つ打ちのビートにフラメンコ調のギターが被さるサンタ・エスメラルダのディスコヒット。

こんなに訳がわからないシーンに、どうしてああも気分が高揚するのでしょう?しかもこのシーンの前には、トゲトゲの付いた鉄球を振り回す女子高生との死闘がある訳です。なんじゃそりゃ。どんな映画やねん。

そうしたイビツな要素がタップリ付着した、本来ならすんなり転がらないであろう話を「エイヤっ!!」とばかりに力づくで転がしてしまったのが「vol.1」だったんではないかと。イビツなモノを転がすんだから当然震動もおきる訳で、その震動/揺れに対して我々の脳は「ブルブルっ」と反応し、得体の知れない高揚感に包まれたのでしょう。(向井秀徳っぽく言えば「YURETA YURETA YURETA」ですか)

で、今回の「vol.2」はといえば、そうしたイビツな要素は若干少なめです。カンフーの特訓シーン、というモノ凄い浮きっぷりのシークエンスがありますが、このシーンも後半の伏線になっていたりします。

そして「vol.1」のオーレン石井、GOGO夕張、ジョニー・モー、ヴァニタ・グリーンに比べて今回の主要キャラ、バド、エル・ドライバー、ビル、その誰もが枯れている。

これは「パルプ・フィクション以来の監督作!」とワクワクしながら「ジャッキー・ブラウン」を初めて観た時の感覚に近いです。「ジャッキー・ブラウン」の第一印象はズバリ「地味!」でした。が、今では観る度に良さが滲んでくるようなスルメ的作品だと思っています。「vol.2」もそうしたスルメ的作品の匂いがするし、おそらくタランティーノという作家は本質的にはこっちの作風の人なんだろうなぁ、という気がします。

本公開が始まったら、もう一度その辺を確認しに劇場へ足を運ぼうと思っております。