2 Boyz n the Hood 〜Be Kind Rewind〜


「Be Kind Rewind」という原題の映画を観ました(@TOHOシネマズ川崎)。邦題は「僕らのミライへ逆回転」とか言う意味不明のタイトルが付けられているらしいです(本編を見ても何故この邦題なのかサッパリわからなかった)。
30年代に活躍したジャズピアニスト:ファッツ・ウォーラーの生家とされるレンタルビデオショップ「Be Kind Rewind」。店員マイク(モス・デフ)は、店の常連客であり友人でもあるジェリー(ジャック・ブラック)に、ひょんなことから店のほとんどのビデオテープを消されてしまってさぁ大変!じゃあここはひとつ、自分達で映画と同じように「ゴーストバスターズ」とか「ロボコップ」とかをビデオ撮りして、それを「スウェーデン版」と言い張ってその場をしのいでみようか!というお話。自分は物凄く感動して、エンディングではボロボロ流れる涙でエンドロールが読めませんでした。
ストーリー自体は至ってシンプル。何人かの方が「ダメチームが頑張るスポ根モノ」という旨の感想を書いていらっしゃいましたが、その通りだと思います。最近だと「俺たちダンクシューター」とほぼ同じ話と言って良いでしょう。オンボロ店がテコ入れの果てにかつての繁盛を取り戻す、といったような飲食店モノの作品とも、非常に親和性は高いです。一言でいってしまえば「凡庸」ともいえる作品かも知れません。
ではこの映画の、一体何がそんなに良かったのか?漠然とした答えになってしまいますが、この映画はとにかく「出てくる人が皆、素晴らしいから」としか言いようがありません。
「Be Kind Rewind」を観終えてから、監督であるミシェル・ゴンドリーの前々作「ブロック・パーティー」を再度観なおしました。この作品は、コメディアンのデイヴ・シャペルが企画するフリーコンサートの模様をゴンドリーが追うドキュメンタリー。この作品では出演するミュージシャンのパフォーマンス/オフショットと並行して、ライヴを陰で支える人々(ミュージシャン達の待機場所を提供してくれた保育園の園長さん、コンサートに招待した若者二人、大学マーチングバンドの面々、Mr.Tみたいな客、ライヴ会場を提供してくれたヒッピーの老カップルetc…)が多数紹介されていました。
思うにゴンドリーという人は、こうした市井の人々の魅力を引き出すのに非常に長けた人なのかも知れません。今回の「Be Kind Rewind」でも、演じるのは役者ではあるものの、パーセイクという下町を舞台に、そのコミュニティの魅力を存分に切取る事に成功しています。そんなニュージャージーの、これといってパッとしない下町に、ジャック・ブラックとモス・デフという、アクの強い、ともすればお互いの強い個性で相殺しそうな二人の主演俳優を、見事に溶け込ませる事にも成功しているとも思います。後半の、町の皆が一丸となって“オリジナル”の映画作りに奔走するシーンの畳み掛けなどは、近年稀に見る高揚感があり、それを引っ張って行く二人もまた素晴らしかったです。
必ずしもハッピーエンドとは言えず、ほろ苦さを漂わせつつ終幕となる感じも非常に素晴らしく、久々に客電が点いてもボーっと余韻に浸っていたいような気持ちになる作品でした。ゴンドリーファンはもちろんのこと、そんなに映画に興味がない人も是非観たら良いと思います。
余談ですがライバルのDVDショップの店長を演じていたのが、なんとオーガスト・ダーネル改めキッド・クレオール大先生だったのでちょっと感動しました(しかも結構オイシイ役)。


このPVも、ちょっとゴンドリーっぽいかも。