「ロング・エンゲージメント」を観ました(@藤沢オデオン)。
「アメリ」主演女優&監督のコンビ再び!という売り方をしている作品ですが、反戦映画でした。しかも「戦争反対!」とは一言も言わずに「戦争ってやっぱイヤだなぁ」と思わせるクレバーな作りは、少なくとも藤圭子の義理の息子は正座して観るべき作品でしょう。
「ロング・エンゲージメント」で綴られているのは「戦争に巻き込まれる、戦争とは何の関係も無い一般市民も被害者だが、むりやり戦地に借り出された兵士もまた被害者」という物語で、帰還したいが為にわざわざ自らの手を銃で撃ち抜いたりする5人の兵士達の、出兵するまでのそれぞれの経緯を語るところから始まります。その後は「笑って良いんだか・悪いんだか」という描写が幾つか登場しますが、その一見すると馬鹿馬鹿しい「殺しあったり・他人や自分を傷付けたり傷付けあったり」というアクションはどれも戦争が無かったら起こらなかった事ばかりです。そういったシーンを、ジャン=ピエール・ジュネの独創的な映像で畳み掛けることで、陰惨な物語から逸脱してしまいそうな観客をひきつけることに成功していると言えるでしょう。
ただ一つ難点を挙げるならば、オドレイ・トトゥ演じるマチルドが捜し求める、戦地で消息を断った恋人マネク(ギャスパー・ウリエル)の存在感や描き方がイマイチ弱く、彼の印象がもっと強烈ならラストも更に感動的なモノとなった事でしょう。その点は悔やまれると思います。
ビックリしたのが「シンプルメン」「愛・アマチュア」などのハル・ハートリー作品のミューズ、エリナ・レーヴェンソンがチョイ役で出演していたこと。ジョディ・フォスターも割と小さいながら重要な役で、流暢なフランス語を披露したりしています。