2018年公開作品ベスト10

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1. 『寝ても覚めても』

2. 『ファントム・スレッド』

3. 『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

4. 『1987、ある闘いの真実』

5. 『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』


1.寝ても覚めても
 鑑賞後に原作小説も読んだが、原作にあった枝葉はバッサリと切り落とすが映画用には新たな枝葉が生えており、骨格は同じながらも全く別の話のように感じた。同様のアプローチでテッド・チャンの短編を映画化したドゥニ・ヴィルヌーヴの「メッセージ」を思い出したが、どちらも映画の方が好みである。


2.ファントム・スレッド
 往年のメロドラマのようであり、そうしたスタイルでは全く描かれなかった男と女の支配/被支配の関係を描いている。


3.ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ
 前作ではサブエピソードとしてしか描かれなかった、マット(ジョシュ・ブローリン)とアレハンドロ(ベニシオ・デル・トロ)の蜜月が記されており、そしてそれは不幸な形で終焉を迎え、三作目への期待が最高潮に達したところで物語も終わる。


4.1987、ある闘いの真実
 どう考えても今の日本人に刺さるのは「ペンタゴン・ペーパーズ」より断然こちらであり「記録は取るなと言ったろ!」という台詞にも象徴されるように、創作物によって本邦の現状の異常さを再認識するのがとても辛い。


5.フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
 母親ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)と子供ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)に纏わる様々なエピソードは、全編それだけでも観ていられるぐらいの楽しい感じではあるのだが、この暮らしを諸手を上げて肯定するのはそれはそれで問題がある。すると終盤にちゃんと反転があり、この辺にニューシネマの影響を感じたりした。東にサフディ兄弟がいれば西にはショーン・ベイカーあり。

 

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6. 『スモールフット』

7. 『イコライザー2』

8. 『BPM ビート・パー・ミニット』

9. 『ブラックパンサー』

10. 『ロープ/戦場の生命線』

 

6.スモールフット
 果たして「移民どもは強盗や殺人を犯すので壁が必要だ」と吠えたり、自分に都合の悪いニュースを「フェイクだ」と逃げる首長が登場しなかったら、こんな作品が作られただろうか?と思えるほどに色々とリンクする部分が多い。この映画の幕引きを「ファンタジーである」と一蹴するのは簡単である。


7.イコライザー
 前作との一番の大きな違いは「もうオバマの時代ではない」、なりふり構わない時代が到来したということ。今作の敵が発する「前とやってたことは同じだろ?」という〝事なかれ主義〟に対する激しい怒りが渦巻いている。早朝の郊外住宅地でマッコールが啖呵を切る場面の異様さが、この手のジャンル映画と本作の決定的な違いである。


8.BPM ビート・パー・ミニット
 フランスという国における、ディベートの歴史とプロテストの歴史の重みを痛感する作品であり、もちろんそれらは全て「公平であれ」という道に通じており、それをまやかしで回避するような奴等には(非暴力での)実力行使も辞さない、そんな当たり前のことを訴えている。個人の物語の延長にある社会運動の話。


9.ブラックパンサー
 物語はああした形で幕を閉じたが、ウンジャダカ/キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)がワカンダに投げかけた疑問は、マイク・レズニックが「キリンヤガ」で提示したような問題を孕んでおり(⇨参照)、あそこでテラフォーミングされた故郷に移住した人々が陥ったような対立を招くような気もする。続編があれば是非観てみたい。


10.ロープ/戦場の生命線
 戦争の不条理を、間接的にちょっとした事件を主題にして際立たせる、という点で成功している。ベスト10本に入るか入らないか、という小品だとは思うが、あまり知られぬまま埋もれていくには勿体ない、そんな映画。

 以下に次点作品を。
君だけが、僕の世界/マダムのおかしな晩餐会/シュガーラッシュ:オンライン/パッドマン/ロンドンに奇跡を起こした男/輝ける人生テルマ/走れ!T高バスケット部/REVENGE リベンジ負け犬の美学/search/運命は踊る犯罪都市名もなき野良犬の輪舞/バッド・ジーニアス/タリーと私の秘密の時間ウィンド・リバーミッション:インポッシブル フォールアウト/天命の城レディ・バードビューティフル・デイパティ・ケイク$アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー/5パーセントの奇跡/ペンタゴン・ペーパーズ/女は二度決断する/ヴァレリアン/ダウンサイズスリー・ビルボードあなたの旅立ち、綴ります/THE PROMISE 君への誓い/デトロイトローズの秘密の頁/RAW 少女のめざめ/オール・アイズ・オン・ミー