ミイラ取りが「イラッ…!」となる。 〜消えた天使〜 

「消えた天使」を観ました(@TOHOシネマズ横浜)。

米国で登録されている性犯罪者は50万人以上 1人の監察官が1000人の登録者を監視する。米国では2分に1人、女性または児童が性的暴行を受けている―
こんな仰々しい一文と共に幕を開ける本作は、18年の長きに渡り性犯罪登録者の監視を続けてきた監察官:エロル(リチャード・ギア)と、引継も兼ねて後任となる新人女性監察官:アリスン(クレア・デインズ)、その二人が織りなす異色のサイコサスペンス/バディムービー。インファナル・アフェアシリーズの監督、アンドリュー・ラウのハリウッド進出第一作で、意外な佳作という感じの拾い物でした。
異色というのは、主人公であるエロルが、性犯罪者達と長年に渡って接してきたせいもあってか、もうすでに「あっち側」に片足を突っ込みかけているという点。自分が担当する性犯罪登録者には、再び同じ過ちを繰り返させてなるものかと、バットで闇討ちにするなど、ちょっと仕事熱心が過ぎてしまう。ダイナーでいちゃつくカップルに「お前、人に見せつけて興奮して勃ってるだろ?」などと喧嘩を売ってしまう。あまりにも性犯罪者と関わってきたが故に、いわば共依存的な状態に陥ってしまっている。
そんな彼に「ついていけない」と一時は後任の辞退を申し出たアリスンだったが、最終的にはそんな彼を受け入れ、自ら茨の道を進むことを決心するに至る。そういう意味ではバディ物にして師弟関係を描いた物語でもあるし、ある若者の成長物語でもある。アリスンを演じるクレア・デインズは、普段は綺麗な顔立ちなのに、感極まると顔をクシャクシャにして激昂を表現していて「ああ、そういえば『ロミオ+ジュリエット』でもそれが新鮮だったな」と思い出しました。
それにしてもこの邦題は酷いような気がします。多分、映画初出演となるアヴリル・ラヴィーン(上記画像、結構重要な役ではあるが出演シーンは本当に一瞬)にかけての邦題なのでしょうが、それならいっそのこと「アヴリル・ラヴィーン in“消えた☆天使”」とかにして、彼女目当てに来たお客さんが「変態がてんこ盛り過ぎてドン引き」となったら面白いのにナァと思いました。