センチメンタル・コンチネント「マイレージ、マイライフ」
一年で322日も出張し、全米を駆けずり回って企業の代わりに社員に「クビ」を言い渡すリストラ宣告人のお話。
空港を自ら「Home」と呼び、「出張」というシステムに隷属しているボク。「そんなボク:ライアンのモットー、日常のディシプリンをご紹介します」という冒頭のナレーションから、「これは『ファイトクラブ』じゃないか!」と興奮。
そして、大学出たての勝ち気な若者が登場。「出張なんて無駄は全部省いてオンライン化すればいい」と提案する彼女に対し、「何もわからぬヒヨっ子が!」と、実地研修と称して各地を連れ回し、ライアンは「リストラ宣告人」としてのメソッド/セオリー/フィロソフィーを彼女に叩き込むことになり、さながら「これは『ハスラー2』じゃないか!」と悶絶。
しかしながらその後は、こういう面白くなりそうな要素を全部投げ捨て、「自分探し」みたいな話に迷走を始める。自分はイマイチこの後の展開がノレませんでした。
中盤、It企業(?)のパーティーに忍び込むシーンで、Young MC本人が余興的に借り出されて登場し「Bust A Move」を披露!という展開は、「アンヴィル」とか「ラヴソングが出来るまで」みたいなトホホ・・・感。かつては一世を風靡しながらも「食えなくてドサ回りやってる」みたいなラッパーは結構いるんだろうなぁ…と、切なくなりました。
20年前に輝いていたYoung先生
ジョージ・クルーニーは、スーツをバリっと着こなし、無骨さの中に時折“キラー照れ笑い”を忍ばせたり、相手役のヴェラ・ファーミガは34歳という設定で「その年代の美しさ」を絶妙に醸し出していたし、新人を演じるアナ・ケンドリックも「彼氏に捨てられた・・・!」と泣き出すシーンが素晴らしく、役者で魅せる作品だなぁと思いました。