アラサー/アラフォー応援歌「サンシャイン・クリーニング」

サンシャイン・クリーニングを観ました(@シネクイント)。

ローズ(エイミー・アダムス)は、現在とある刑事(スティーヴ・ザーン)と不倫中のシングルマザー。一人息子のオスカー(ジェイソン・スペヴァック)を育てながらハウスキーピングの仕事をして暮らしている。ローズの妹ノラ(エミリー・ブラント)は気に入らないことがあるとすぐに仕事を辞めてしまう問題人物で、いまだに父親と実家暮らし。
そんな中、オスカーが小学校でちょっとした事件を起こしてしまう。学校側の対応に納得がいかなかったローズは、なんとかオスカーを私立の小学校に編入させるため、入学資金獲得に奔走することとなる。ローズは不倫相手から聞いた「事件現場の清掃の仕事は金になる」という話を思い出し、ノラに「一緒に仕事をしてみないか?」と持ちかけてみるのだが・・・
アメリカ公開時に4館からスタートし、全米に拡大していったという本作は、本当に「佳作」としか言いようが無い作品でした。
終盤、ある事件が起きて、それまで姉妹で仕事をこなすことにより順調にいっていた二人の関係に、決定的な亀裂が入ってしまうのですが、その後に起こる「ささやかな奇跡」によって、修復とまではいかないけど、姉妹は再びお互いの繋がりを再確認する、というのが一応のクライマックスとなっています。
で、この展開が、どうもその亀裂となる事件が、その後に起きる「奇跡」を見せたいがための展開のように思えてしまって、なんだかちょっと物足りない感じがしました。これは「レスラー」の時にも思ったのですが、自分は主人公:ランディには「あんな形」でリングに上がって欲しくなかった。なんかもっと別の理由で「オレがやらねば誰がやる・・・!?」的な理由でリングに上がって欲しかった(まぁそうすると作品のテーマからは微妙にズレてきてしまうのだけど・・・)。個人的には、その後の所謂「自決」を見せたいがための展開のように思えてなりませんでした。
言ってしまえば全ての映画の脚本なんて、序盤から「見せたい場面」を際立たせるための長い長いお膳立てみたいなモノかもしれないし、それで良いのかもしれないけど、例えば、ETが自転車にのった少年を飛ばすことができるのは、それ以前のシーンでも描かれているのに、なぜ最後にあそこでやられると脆くも涙腺が大決壊するのかとか(全然異なるタイプの作品なのでちょっと例えが正しくないかもですけど)、そういう前後の積み重ねみたいなものをもっと大事にして欲しい、と思ったわけです。

しかしながら、主演のエイミー・アダムスが本当に素晴らしく、本作の主人公みたいな役が出来て、「ダウト」が出来て、でもって「魔法にかけられて」ができる人ってそうはいないよなぁ、と改めて思いました。共演のエミリー・ブラントも素晴らしく、二人の父親役のアラン・アーキンも最近よく見る「ブツブツ文句言ってたまに激昂する爺さん」といういつものアラン・アーキンでした。
でもって、サントラが「ペン一家(一人死んじゃったけど・・・)の歌心」ことマイケル・ペンの手によるもので、中々手堅い仕事をしていました。

Sunshine Cleaning
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