希望は、戦争。 〜大いなる陰謀〜

「大いなる陰謀」を観ました(109シネマズMM)

この映画にピッタリなキーワードを外すなんてどうかしていると思いました。今の時期に公開をぶつけてくるなら、邦題は間違いなく原題「LIONS FOR LAMBS」はそのまま(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」がありならもう何でもありだと思う)で、「ライオンズ・フォー・ラムズ 〜格差社会に潜む大いなる陰謀!」とかにするべきだと思う。
結局のところ、トム・クルーズ演じる共和党議員に、9.11以降のアメリカの姿が全て投影されている気がしました。
「9月12日の朝を憶えているか?私達の生活圏内の全ての公共施設がターゲットに思えた朝を・・・」などと言われてしまうと、もう何も言えなくなってしまう感じ(実際、対するプレスのメリル・ストリープはそういう反応を返す)。
多分、この内情を分析するなら、2割ぐらいは本当にそう思いながらも残りの8割では「これで民意をコントロールできんじゃん!」ぐらいに考えていて、これを武器に、アメリカが後先考えずにゴリ押しした結果の「この素晴らしき世界」。
「高みの見物の発案者サイド」を発端に、「割を食わされる現場サイド」の作戦における実行者の厳しい現状を描き、「実行者に間接的に関わった関係者サイド」に視点を据え、何が出来て何が出来なかったのか、そして「今、何をなすべきなのか」を観客に問う(その答えはエンドロールに示唆される)。ミニマルを描きながらマキシマムを想像させる良質の作品だと思いました。
劇中、トム・クルーズ演じる議員は「神は我々の行いを見ておられる・・・」という感じで、自らもウルウルしながらレトリックとしての大演説をぶつのですが、でもトム・クルーズのいう神様ってアレだしなぁ・・・とか余計なことを考えてしまいました。