ライセンス・トゥ・KILL 〜「ユナイテッド93」〜

「ユナイテッド93」を観ました(@109シネマズMM)。
私と同じく“横浜のディープサウスに住む男”id:S2D2氏と観て来ました。
私の感想はというと、久々に感想に困る映画を観た様な気がします。事前に聞いていた「テロリストと勇敢に戦ったアメリカ人乗客、と、美談として描くのは如何なモノか?」みたいな事は全然無く、これを美談と取れるって、アメリカ人はどんだけ「僕の、世界の中心は、スターズ&ストライプスだ」なんだろう?と思いました。実際のところはどうだったか定かではありませんが、この作品でのテロリスト/ハイジャック犯の描き方が、私にはとても公平には思えず、物凄く稚拙な描き方に見えて、「こんな奴らにこんなことされてムカツクだろ?!」という悪意ある煽りのようなモノを感じ取ってしまいました。そして、終盤にこれでもかと繰り広げられる「もう俺達助からない。あいつらのせい。あいつらテロリストだから虫けらのように殺してオッケー」というゴーサインが出た時の、ある種の火事場のクソ力的な“人間の突進力”には、恐怖を感じつつもゲンナリして疲れてしまいました。
で、美談かどうかはさておき、「結果として出色の航空サスペンスとなって(しまって)いる」みたいな評も、幕切れがあれではサスペンスもクソもないだろー、という気になって、なんだか本当に久し振りにモヤモヤした気分で劇場を後にしました。
で、その後のS2D2氏との歓談で、氏から飛び出した「あの管制塔の『今すぐ大統領に連絡を取れ!!!』みたいな緊迫したやりとりのシーンで『華氏911』を思い出すと切なくなった」という素晴らしい名言。
「前代未聞、旅客機が全米各地に突っ込みながら、今だ訳も分からぬ未曾有の大惨事」という事態で、あの張り詰めまくったテンションの中で、「一方その頃、大統領は…」と小学校にカメラがリレーされれば、もうそれは完璧なコントでしかなくて、思わず「それ、何てモンティ・パイソン?」と呟かずにはいられないのでした