「かもめ食堂」を観ました(@109シネマズMM)。
スローフード!スローライフ!カフェ!ロハス!
・・・っていう映画でした。日曜とは言え、午前中の初回がほぼ満席だったのにはちょっと驚きました。
恐らく、舞台をフィンランドに設定するからには、アキ・カウリスマキの映画に対する何某かの憧れがあるのでしょう。彼の映画には「散々なことが立て続けに起きるからこそ、ちょっとの幸せが本当に輝いて見える」という一つの重要なテーマがあるのですが、「かもめ食堂」には「散々な出来事」がスッポリ抜けていて、ただ単純に「小さな幸せ」を提示するだけ。そりゃ楽しいかもしれません。観ていてホノボノもするでしょう。
フィンランドで食堂を開く理由が「シャイで朴訥なフィンランドの人たちなら、私のお店を理解してくれんじゃないか、って思って」でも別にイイと思うんですよ。しかしながら、日本だってどこだって、お店を経営していく、特に飲食店なんて言ったら並大抵のことではないはず。この映画における「自分を信じていれば、いつか道は必ず開ける」といった“熱さを伴わない”さり気無い主張が、「OL辞めて『かもめ食堂』みたいなお店を開くの!」と私財を投げ出して新たな一歩を踏み出してしまう人の背中を押さないとも限らないし(こういう学校が出来るご時世だし…)、色々罪作りな映画だなぁ、と思いました。
お店を開くということは、「かもめ食堂」のようになるかも知れないし、「浮き雲」のように最後は報われるかも知れない。でも、カウリスマキが敬愛する小津安二郎が「秋刀魚の味」で描いた、杉村春子のようにも成りかねない、という事を心に留めておきたいです。
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