「ナポレオン・ダイナマイト」再見。
もう一回観ました。やはり観る度に強度が増していく作品だと思います。二回目なので字幕を英語にして、今度は細部まで注意して観る事が出来ました。核心には触れませんが、やはり未見の方はこのエントリを読まれない方が良いと思います。
基本的に画はフィックスばかり、カメラが動いてもパンでフォローしたりするぐらいです。あんまり小細工をしないストロングスタイル。何度か固定で素早いズームのカットが挿入されるのですが、これなんかはキューブリックがよくやりますね。
変態屋敷でトム様が「待ちなさい!」と娼婦に救われるカットとか。
ナポレオンが、プロムの為に茶色のスリーピース↑を購入するのですが、この時のスローで颯爽と登場する(日本語が変だ)カットは、おそらく「タクシードライバー」でしょうね。
初デート、真っ赤なスーツで登場するトラヴィスのカットを意識してる?
そして、この時にかかる音楽はジョン・スウィハート?なる人のオリジナルのスコアなのですが、どう聴いてもチャカチャスの「ジャングル・フィーバー」!ドラムとかモロそのまんまです。
サントラには、スウィハートさんによる劇中で流れる宅録テイスト溢れるラウンジポップなどが収録されていて(既製曲も)、コンバスティブル・エジソンとか初期マニー・マークなどを彷彿とさせます(全曲試聴)。
コンバスティブル・エジソンが手掛けた「フォー・ルームス」のサントラ。
マニー・マークの一枚目。名盤!
タランティーノが以前「恋する惑星」のことを、「これから『カリフォルニア・ドリーミング』を聴くと、もうあの映画のことしか思い浮かばなくなるだろ?オレもそういう選曲を心掛けたい」みたいな事を言っていて、彼の場合、概ね成功しているように思えますが、私も「Canned Heat」を聴くと、もうこの映画のことを思い出さずにはいられません。
何だかんだ言っても名盤。四枚目。
あと印象に残ったのは、やっぱり脇役の人たち。
ナポレオンのお兄ちゃん、キップ。
32歳。口髭、メガネ、短パンにハイソックス、そして肌の生っ白さ。完璧過ぎます。
アンクル・リコ
ちょっと神々しいまでの胡散臭さを発揮するナポレオンの叔父さん。「現在の知識を持って、過去に戻れたらナァ」という名言を残す。
そして・・・
Rex Kwon Do
BOW TO YOUR SENSEI!!!
脇役の立ちっぷり、面白っぷり、そしてロッカーなどのカラフルな色彩設計は、お話のオフビートっぷりも含め小津安二郎の「お早よう」などを彷彿とさせます。
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色々と「あーでもねーこーでもねー」と書きましたが、とにかく百聞は一見にしかず。1000円でこんな名作が買えるんですから、少しでも興味をお持ちになった方は是非どうぞ。
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エンドロール前のラストカットの、あまりの美しさに(バックにさり気無く写ってる山々が、んもぅホントーーーにキッレーーーなの!おすぎです!)、ちょっと泣きそうになりました。