「ステルス」を観ました(@109シネマズMM)。
毎年毎年、飽きずに懲りずにある程度の本数の映画をみていると、年に何本かは「普通のハリウッド映画ですよ〜」っていう顔をしたとんでもない怪作が混じっていたりするんですが、これもそんな映画の一本でした。以下、面白ポイントを記すとどうしても映画の内容に触れてしまうので、未見の方はお読みにならない方が良いと思います。
まずオープニング。颯爽と雲を裂く飛行機目線の映像に「近未来・・・三人のパイロットが選ばれた!」というテロップが流れるザックリとした幕開け。これはもしや…と思ったら、冒頭から初めての見せ場で「A.I.搭載ステルスとの演習→ミャンマーにテロリスト集合との情報が!→討ちに行け!そのまま実戦だ!」というこれまた恐ろしくザックリとした命令が…。手始めに首都ラングーンで高層ビル一つブッ壊します。そしてビルを倒壊させた後に超高速で「ぶーん!」と退散。周辺住民にしたらエライとばっちりです。この既視感のある「とばっちり感覚」は一体・・・。そう、実は「ステルス」は、実写版「チーム・アメリカ」だったのです!
その後、A.I.搭載ステルス(EDI)は雷に打たれ「自我が目覚める」という、これまたザックリビックリ機械工学。EDI君は暴走し、命令を無視してタジキスタンのテロリストを単独爆撃(この爆撃シーンの前、核弾頭を牛車に引かせるテロリストという衝撃映像が流れます)。当然、核弾頭も爆撃により爆破され、テロリストのアジトの近隣の村に死の灰が降り注ぎます。またもやタジキスタンとばっちり。しかし!EDI君の攻撃によりパイロットの一人が死亡、残った二人は死の灰が降り注ぐ村の事などすっかり忘れて感傷にひたるのです!まさに「チーム・アメリカ」じゃないですか!!
その後も各国でとばっちりバトルを繰り広げ(とばっちりを受けた国は1mmも悪くない!)、思いっきりマイナスの結果で幕を閉じます。でも悲壮感はゼロです。マイナスの結果しかないのにクルー達の「やり遂げた!」感を漂わせつつ終幕となります。もう何というか、この映画の「アメリカと、それ以外の国」という世界観、ザックリとした感覚に改めてビックリしました。
テクニカルな面で言えば、作品中で繰り広げられるCG加工バキバキのVFXによるステルスのドッグファイトシーンは非常にテンションの高いモノで、昨年の傑作「トルク」を彷彿とさせます。
ちなみにこの人が監督のロブ・コーエン。ヤクザではありません。
きっとこのルックスだから「実写じゃ撮れないカットを創るのがCG職人の仕事だよなぁ?なぁー!」と、CG技師達を日々恫喝していたに違いありません。アクションの見せ場でCGを多用しながら、ザックリした実写ドラマパートでもそれに釣り合う演出をして飽きさせないのは「ワイルド・スピード」「トリプルX」などを撮ったロブ・コーエンの功績かも知れません。ジェイミー・フォックスがEDI君に「You Disrespect Me!もう怒ったぞ!」と正しく黒人的にブチ切れたり、EDI君がインキュバスの新曲を流しながら上機嫌で機銃をブッ放す、なんていう非常に正しいセルアウト演出もあり、今後もロブ・コーエンから目が離せそうにありません。
追記:次回作はなんと、キアヌ主演で「シンドバッド」だそうです!!
「〜『トップガン』はアクションが20%、残りの80%は素晴らしいストーリーやキャラクターが語られている映画、だから大好き」 ロブ・コーエン インタビュー