「エターナル・サンシャイン」を観ました(@109シネマズMM横浜)

傑作だと思いました。恋愛映画のネクストレベルだと思います。そういう意味ではPTAのパンチドランク・ラブを彷彿とさせます。



恋愛映画の構造など、たかが知れています。「出会い・くっ付き・別れたり・またくっ付いたり」と、大まかに分けてこの四つの要素を如何様に象徴的に描くか、そのヴァリエーションでしかない気がします。「エターナル・サンシャイン」も、男女の出会いをアヴァンタイトルで象徴的に描き、次のシーンでは関係の終焉に涙する男が車を走らせるシーンでタイトルロールとなり、「何故オレが振られなきゃならん?!」という原因の探求が物語の主な柱となります。
しかし「エターナル・サンシャイン」を手がけるのは監督ミシェル・ゴンドリー脚本チャーリー・カウフマンという曲者×曲者です。彼らは何てこと無い恋愛映画に「記憶除去手術」という飛び道具を「エッヘン!」と掲げてみせるのです。面白味が減るので詳しくは言及しませんが、この「記憶除去手術」をキーワードに、物語は怒涛の展開を続けていきます。
「パンチドランク・ラブ」は「ブチ切れしやすい」というコンプレックスを抱えた男が遭遇する、文字通りの「強烈なひとめ惚れ」を描いた作品でしたが、簡潔に言ってしまえば何てこと無いお話です。しかし、そこで葛藤する男の「魂の咆哮」は確実にあり、監督のポール・トーマス・アンダーソンはその主人公の葛藤や成長を「真摯に・温かい眼差しで・面白おかしく」描いていたので、すんなり感情移入できたのでした。「エターナル・サンシャイン」でも、ジム・キャリー演じる主人公ジョエルが、ケイト・ウィンスレット演じる恋人クレメンタインを探し求める(記憶内で!)シークエンスが非常に「面白おかしく・温かい眼差しで・真摯に」描かれており、結果として、何てこと無いただの恋愛映画とは一線を画す仕上がりになっていると思います。
最後に、この映画の素晴らしさを一言で言い切っている、この人の言葉を引用致します。
「これは私にとっての傑作。夜中に過去の恋愛体験を思い出してグアァっと叫び出したい衝動があった人、ある人の傑作。それでも失望できずにいる人の傑作。いやぁ、泣いたよ」
侍クンフー/版下を考える人


追記:映画を既にご覧になったはどうぞ→ http://www.lacunainc.com/