「バリオッハー」が弱い!by YOSHI
「Deep Love アユの物語 劇場版」を観てしまいました…。
id:throwSさんが劇中に登場するパオ(子犬)のように潤んだ瞳でゴリ押しするので、DVDをお借りしました。大方予想はしていたんですが、予想以上のとんでもない映画だと思いました。
まず驚いたのが、この映画の驚異的なアテンションスパンの短さです。私がかつて脚本の学校に通っていた頃によく指摘された事なのですが、「物語を語りたい、この場面を見せたい」という欲求は、それ自体が推進力となった場合、全ての登場人物はお話を進めるだけのコマと化します。一つのエピソードは次のエピソードを語る必要最低限の要素のみが重視されるため、それ以外は切り捨てられます。これが結果として驚異的なスピードのアテンションスパンを生み出します。
例を挙げれば「アユとお婆ちゃんの出会い」がスタートから3分後、そこから「お婆ちゃんの死」までが約33分、この正味30分間にお婆ちゃんとアユが体験した出来事を、川嶋あいの感傷的な歌とともにフラッシュバックで見せるのです!この驚異的なスピード感覚!「レクイエム・フォー・ドリーム」ばりにクラクラしました。他にも突っ込み所を挙げればきりが無いのですが、「え?アユの両親は?」「お婆ちゃんの葬式は?」「自分の家の裏に自分の子供を捨てる?!」「居酒屋のバイト全員でレイプ?!」といった数々の疑問点も
「アユの物語を!援交のAIDS感染により死んでいった名も無き少女達の物語を!」
というYOSHIのピュアな熱意に裏打ちされた推進力により、突っ込みの余地を与えません。
YOSHIはマジです。決してオリジナルアクセ制作の片手間にこの映画を作ったのではないと思います。特典のメイキングで熱っぽく作品を語ったり演技指導をする彼(上記発言)を観ていると、本当にこの作品に登場するキャラクターの一人一人に愛を注いでいるのがわかります。そして、YOSHIが発信したメッセージは、女子高生をはじめ多くの人々の心に届いたと聞きます。長年映画を観ていれば「これはコケる」「これは当たるでしょ」「これはジワジワくるんじゃないの?」といった大体の予想はつくような気もしますが、最近は本当に何が何やらわからなくなってきました。2004年は「Deep LoveもあったけどIZOもあった年」として、未来永劫まで記憶されることとなるでしょう。