「子猫をお願い」を観ました。

韓国・仁川(インチョン)の高校を卒業した5人の少女たちの群像劇です。恐らく誰でも経験があるであろう、「付き合いを選んで行く」過程を、痛々しくも瑞々しく描いた佳作であると思います。
友人の、そして親友の定義とは何でしょうか?それは「小・中・高・専・大」、学校と言う無条件の縛りが無くなった時に判明するような気がします。「学校に行けば会える」から、「わざわざ連絡を取り合い都合をつけて会う」への変化。連絡が途絶えたら気になるし、同じような考えで相手も定期的に連絡をよこす、という、何気ないけどとても重要なこと。それぞれが働きだしたり、新たな学校に通うようになったり、という生活環境の変化によって生まれる新たな付き合いや、あるいは恋愛に重きを置くようになってからのそれまでの友達との付き合い方。そうした距離のとり方は、本人が無意識の内に判断を下すことで生じる微妙な擦れ違いにより、気付けばかつては永遠に続くと信じて疑わなかった関係が疎遠になっていたりします。しかし、それは自分は勿論、誰の落ち度でもないはずです。なるべくして増えたり減ったりする友人関係。「子猫をお願い」は、大人になっていく過程で誰もが抱くであろうある種の「儚さ」を思い起こさせてくれる映画でもありました。
女子同士友情モノ、で括れば、ペ・ドゥナが終盤で発する台詞
もし、あなたが斧で人を殺したとしても、私はあなたの味方だから
にはかなり「グッ」ときてしまいました。
17歳のカルテ」における「アンジェリーナ・ジョリーにペディキュアを塗ってあげるウィノナ」を思い出しました。
しかし、そんな事はどーでも良くなるぐらいに(そーなのかよ!)ペ・ドゥナが魅力的な映画ではありました。眉間にシワを寄せたあの表情!「女子の不機嫌そうな表情萌え」なワタクシとしては、もう「掻いて掻いて背中を掻いてぇ…ソコソコぉ!」と竹中直人ばりに叫びたくなりました。
全体の雑感としては、上昇志向のOLを演じるイ・ヨウォンの描き方が多少物足りなく、ただの嫌なヤツになっていたのはちょっと残念な気もします。ドゥナさんによれば、彼女は試写を見終わって泣いてたそうです(…)*1。音楽は劇中で流れる曲がエレクトロニカっぽかったり、かつての渋谷系っぽかったり、そうした流れは当然韓国にもあるんだなぁ、と認識させられたり。オープニングタイトルとエンドロールのスタイリッシュな感じも含め、色々と興味深かったです。

*1:イ・ヨウォンは当初、オク・ジヨンが演じた貧乏な子ジヨン役を熱望していたんだとか。役的にはこっちの方がオイシイ役というか、監督に説得されてヒールを引き受けた、というか…