「オーシャン・オブ・ファイヤー」を観ました。

これねえ、ウマが凄いんですよ(と言っても金髪で日本刀振り回す目が離れて鼻のデカイ女の人ではありません)。馬がちゃんと芝居してるんですよ。「ご主人様がボコられてるのを見てオタオタする」とか「迫り来る砂嵐に一度振り向いてノリ突っ込み的にビックリしてみせる」とか、それぞれ短いんですけど「うわっ馬スッゲ」と思いました。
で、内容はと言いますと「ハリウッド黄金期を彷彿とさせる古典的娯楽冒険活劇をスピルバーグの弟子が撮りました」という映画でした。これ、貶してるわけでも何でもなく、キャリアをILMから歩み始めたエリート、ジョー・ジョンストンらしい仕上がりになっていたと思います。
そして起承転結の「起」を簡単に説明しますと、19世紀末期、クロスカントリーレースの名騎手として名高いフランク・ホプキンス(実在の人)は、ウーンデッド・ニーの虐殺に間接的にではあるが関わってしまい、それゆえに負い目を感じ、「大西部ショー」でドサ周りをする日々を送っている。
そこへアラブの族長が主催するレースへの参加を持ちかけられる。ただこの話は、当初アラブ馬以外の参加を認めなかった伝統あるレースで「純血種のアラブ馬が世界一!」ということを知らしめる為に外部の参加を認めた、というもので、いわば最初から文字通り「当て馬」。おまけにホプキンスが騎乗するヒダルゴはスペイン産のムスタング(野生馬)。
もうこんな導入部だけで非常に燃えるじゃあないですか!
ヴィゴ・モーテンセンって人はショーン・ペンの監督デビュー作インディアン・ランナーで、「悪態をついて喰った豆をパトリシア・アークエットに吹きかける」ってシーンを見てから「うわこの人スゲエなぁ」と注目してたんですが、それが「LOTR」シリーズの大ヒットの影響でしょうが、まさかこんな大作で主役を張るような俳優さんになるとは夢にも思っていませんでし(これは「あの」ブレインデッド』のピーター・ジャクソンにも言えることですが)。
彼は非常に繊細な芝居でフランク・ホプキンスというキャラクターに陰影を与え、ここがハリソン・フォードには出せない「湿り気」を醸し出していて、というかヴィゴでなければほぼ「インディ・ジョーンズ」です(大好きですけどねインディ)
というわけで、今週の金曜で終わっちゃう劇場が多いようなので、ベタな活劇ファン、ヴィゴ様ファン、馬ファンは映画館へ走れ!!