「ドッグヴィル」について。
観終わって大分経ってから気付いたんですが、これは「鬼が来た!」と非常に類似点が多い作品なんですよ。
まず幕開け。
「ドッグヴィル」では、行き来する道が一本しかないようなアメリカの片田舎の集落に、一人の女が迷い込む。
「鬼が来た!」では、やはり中国の片田舎の農村のとある家に、麻袋に入った二人の日本兵が届けられる。
中盤。
「ドッグヴィル」女は、人々の手伝いを通じて、次第に村人と打ち解ける。
「鬼が来た!」日本兵二人は、去勢を張りながらも、徐々に村人に心を許していく。
そして、もう少し進んだ中盤。
それぞれの作品で、村人たちは「招かれざる客」の今後の対応について話し合い、重大な決定がくだされる。
そして、その決定によって、両方の作品に救い難い悲劇が訪れる。
とまぁ、ビックリするほど似通っている点が多いんです。
(おまけに、「鬼が来た!」は2000年のパルムドールで、「ドッグヴィル」は2003年のパルムドールを「エレファント」に獲られちゃってる)
あえて言えば、異なっているのは両作品のその目線でしょう。
「ドッグヴィル」は「客」の視点で語られ、「鬼が来た!」は「村人」の視点から語られる。
この辺にチアン・ウェンとラース・フォン・トリアーの人間性の違いが窺い知れます。
「ダメダメ!みんな馬鹿ばっかだもん!」っていうトリアーの語り口に比べ、
チアン・ウェンのそれは絶望の中にも一筋の光りがあるような気がして
私的には「鬼が来た!」の方がどちらかと言えば好きな作品です。
でも、両人共に次の一手は一体どんなモノなのか、気になる監督ではあります。