ZAZEN BOYS“TOUR MATSURI SESSION”@日比谷野外音楽堂
行って参りました。去年の春頃に観ているので、約一年半ぶりぐらいのザゼンボーイズのライヴです。
思えばあの渋谷AXのライヴの後、04夏にはセカンド「ZAZEN BOYS Ⅱ」を発表→その年一杯でアヒトイナザワが脱退→「真夜中の弥次さん喜多さん」に出演&サントラに楽曲提供→新ドラム決定→新ドラム加入後、初のシングル「ヒミツガール〜」を発表…といった具合に、バンドには様々なことが起こりました。正直、アヒト脱退のニュースには「果たして代わりが勤まる人間がいるのだろうか?!…解散…?」と思いましたが、いたんですねぇ、柔道二段:松下敦!(右から二番目の人)
思い返せば、彼を初めて観たのは、今は無き赤坂ブリッツで行われたJon Spencer Blues Explosionのライヴに前座で出演したBuffalo Daughterのドラムとして叩いていた時だと記憶しておりますが、そのたいそう体格の良い“悪い内山クン”といった風貌の人が、リズムに体を小刻みに揺すりながら強靭なビートを繰り出す様に、軽い衝撃を受けた憶えがあります。実は去年、サマソニの前夜祭でマニー・マークのバンドでドラムを叩く彼を久々に目撃しましたが、相変わらずの力強いプレイに感動したものです(その時の模様)。
で、肝心のライヴの内容ですが、これがトンデモナイ代物でした。松下氏のドラミングはアヒトのプレイを更にタイトに・そして重たくした感じで(このエントリはリズム感が悪くてキックとスネアが同調してしまって8ビートすら刻めない人が書いています)、全編に渡って叩き倒し。他の三人も個別に黙々と作業(演奏)しながら、非常に緊張感のあるライヴを展開していました(id:zigoroさんが、この日のセットリストを記していらっしゃいます)。
ワタクシが昨年、このエントリでレッド・ツェッペリンのDVDの感想を書いた際に向井秀徳の日記を引用しましたが、今一度その時の日記を引用しようと思います。
6月22日(2003)「渋谷(ZEP狂)陽一」になった気分で記。
〜(ツェッペリンの)ライブにおけるバンドアンサンブル。これはもう究極といってもいい。特に俺が驚き電気ビリビリしたのは、変拍子を多用して複雑なリズムの流れをつくり、テンションを上げていく演奏だ。変拍子のかさね合わせリフの曲はもともといっぱいあるが、ライブではさらにすごい。
ジャズ、あるいはプログレの技巧派がそれぞれのテクニックをぶつかりあわせ競争するカンジとはちがう、ひとつの狂熱に到達するための目的があって、それにメンバー一丸となって向かっていく、という意志が感じられる。それを力まかせで押し切る、という部分がとてもロックだ。その力まかせ感が、スタイルこそ違うがイナザワにとてもよく似ている、と思った。
アタマで考えないと理解しにくい複雑なリズムを、これほどまでに肉体的なグルーブにするには、どうすればいいのだろうか。ただテクニックをもってして出来るものではない。それこそバンドにはそうとうな鍛錬があっただろうが、努力のあとは全く感じさせない。
ツェッペリンの高みの頂点である「ネブワース」ライブを見ると、よくいうバンドマジックという言葉が頭をよぎる。まさに神がかり的である。格好はオッサンくさいが。そのいろいろな音楽の融合、それを自分のロックに置き換えてやるという面で、俺がまさにこれからやらんとしとることは、ツェッペリンのやってきたロックに非常に近いものである、というかツェッペリンはそれをあそこまでやっとるのだ、ということに気付き不安になった。果たして、これを超えられることが出来ようか。これはまさに挑戦である。
世にふたつとない圧倒的なオリジナリティ。俺はそれを目指し、やっていきたいと思う。
よく聞かれる、昨夜も聞かれた「ZAZEN BOYSはどんな音楽をやるんですか?」という質問に俺はこれからこう答えようと思う。
「法被を着たレッド・ツェッペリンである。」
向井氏が「ボンゾ的」とするアヒトはもういないのですが、ZEPを完成型として目指す(そして越える)という姿勢に変化はないと思います。
「〜技巧派がそれぞれのテクニックをぶつかりあわせ競争するカンジとはちがう、ひとつの狂熱に到達するための目的があって、それにメンバー一丸となって向かっていく、という意志が感じられる。それを力まかせで押し切る、という部分がとてもロックだ」
「アタマで考えないと理解しにくい複雑なリズムを、これほどまでに肉体的なグルーブにするには、どうすればいいのだろうか。ただテクニックをもってして出来るものではない。それこそバンドにはそうとうな鍛錬があっただろうが、努力のあとは全く感じさせない。(中略)〜果たして、これを超えられることが出来ようか。これはまさに挑戦である。」
この辺が昨年観た時より更にビルドアップされ、実現しているように感じられました。長いインプロヴィゼーションを続け、また元に「バシっ!!」と戻ってくる様、同じリフを繰り返す際に「1回!」「2回!」と向井氏が手で合図し、それをメンバーが寸分の狂い無くカッチカチに実演して応える様は、観ていて本当に鳥肌モノのカッコ良さでした。もちろん、相乗効果として柔道二段:松下敦のパワフルなドラミングが追い風となっているのは言うまでもないと思います。一年半ぶりに観たザゼンボーイズは、骨がグングン伸びる成長期の子供のような、骨がパキパキする音が聞こえてきそうな、「月一ぐらいでバンドの進化の過程を見届けたい」と思わせてくれるようなバンドに成長していました。
追記:同じコンセプトの音を、カッチリしたモノに美を感じる日本人が奏でるとザゼンボーイズになって、南米/欧米人が奏でるとマーズ・ヴォルタになるのかな、と、そんな事も思いました。
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