ジャケ買い百選 3


WALTER CARLOS 『SWITCHED-ON BACH』




ウォルター・カーロスは「時計じかけのオレンジ」の音楽で有名な人ですが、そんな彼が遡ること1968年に発表した「ムーグシンセサイザーでバッハを奏でましょう」というアルバムです。ところが、ジャケットにカーロス氏の冠はどこにも無く
「TRANS-ELECTRONIC MUSIC PRODUCTIONS,INC.PRESENTS」
という表記になっています。私もレコ屋でこれを見つけた時はまさかウォルター・カーロスのアルバムだとは解らず、だがしかし「ムーグとバッハのコスプレをしたオッサン(ポール・ソルヴィーノ似)」という、アルバムのコンセプトを見事なまでのベタさで具象化したジャケにやられて購入するに至りました(現在ではオリジナルと若干違うのですが拡大画像コチラ、後ろの白ネコにも注目)。
「時計じかけ〜」では「第九をムーグで鳴らしてしまう」という大技で一躍名声を得た彼ですが、このアルバムはそれのバッハ版を想像していただければ話が早いです。「主よ人の望みよ喜びよ」「G線上のアリア」などをムーグで演奏しています。いわゆる「ヒーリングミュージック」とは呼べない気がしますが、大バッハの荘厳な楽曲をムーグのある種ユーモラスで温かみのある音色で鳴らされると「小さな事でくよくよ悩んでいるのが馬鹿らしくなってくる」という程度の効能はあるのではないか、と思います。
で、ここからはちょっとした余談。上記のリンクを見ていただければわかるのですが、クレジットが「WENDY CARLOS」となっています。…はて?ウェンディ?女性?兄弟でしょうか?もちろん違います。ウォルター・カーロスは性転換手術を経て、現在ではウェンディ・カーロスという女性になっているのです!
トップのお写真も麗しいウェンディ・カーロス公式頁
amazon.usでは「walter」でも「wendy」でも引っかかります。ちなみに現在ではうっかり「ウォルター」って呼ぶと怒られるそうです。