ハイパーメリトクラシー・バレエ「ブラック・スワン」


「くだらん呟きばかりだとフォロワーさんに言われたばかりでなんだが。ちょっと暴言吐きます。ナタリー・ポートマンちゃんは早く彼氏を作るべき。エッチしなきゃミラ・クニスやクセニア・ソロには勝てないよ。棒っ切れが踊ってるみたい。女になって表現力を身に付けて欲しい。撮影前までにガッツリとことん!これは大事。」
当のナタ子はエッチどころか、本作で知り合ったフランス人振り付け師と交際→婚約→妊娠→産休に突入する前の「もう一年ぐらい映画出られなくなるから出まくったる!」というオーバーワークモード(今年公開作が本作を含めて2本、公開予定作が更に2本、「Your Highness」を含めれば3本)なので、上記のようなことをアロノフスキーが言ったかどうかは知らないが*1、そういう映画になっていた。
個人的に、今までナタリー・ポートマンという人にあまり色気を感じたことがなくて、それはダコタ・ファニングせよ、ちっちゃい頃を知っているからかも知れないけど、その色気の無さは彼女が醸し出す生真面目さ(ハーバードとイェールに合格するような秀才でありながら、自身のルーツとは言えあの国をガチで支持したり)に起因するものなかと思っていた。でも、一人二役を見事に演じきったミロス・フォアマンの「宮廷画家ゴヤは見た」では女優としてのステージが二つも三つも上がったような気がしていたので、密かにその後の活躍を楽しみにしていたのだけれど、「ブラック・スワン」ではパブリックイメージと役柄を「グッ」とすり寄せることに成功。全編「ハの字眉毛」を炸裂させて、見事オスカー獲得となりました。
肝心の作品は、演者が大舞台を前に精神の均衡を崩していく感じは「オープニング・ナイト」、母と娘の濃密な関係性は「キャリー」、あとダリオ・アルジェント作品の事件が起こる前の不穏な空気などをスパイスに、アロノフスキーのお家芸とも言える「妄執に囚われた人」をネチネチやるような映画になっていた。
最後に一点、本作で最も印象的だった所を。ナタリー・ポートマン演じるニーナは、明らかに自分の能力以上の物を求められ、ズタボロになりながらもそれをなんとか乗り越えようとする話なので、そうした超業績主義的な側面では現在の日本の酷い状況ともかなりリンクする*2わけで、その意外性がとても面白かった。


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*1:観る前に感想をシャットダウンしていたら既にワッシュさんが全く同じことを言っていた……http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20110511

*2:この点では「レスラー」と同じかも!