とんでもねえ、アタシャ神様だよ


3月7日「アレクサンドリア」を観る。
詳しくは暗黒皇帝さんのココでどうぞ。宗教の不寛容さ、信仰を広めようとする信徒達が使うレトリック、それに翻弄される人々を描いた傑作大河ドラマ。今のところ、2011年のベストはこれで良いかな?という気もしてる。


3月11日 地震。
職場が高層階なため、縦揺れの後にグルングルンとフロアが回る様が物凄かった。今ではそれが耐震構造による「揺れ」だったとわかるけど、起きた当時には当然そんなことに気付くわけもなく「ビル折れる、死ぬ」と思った。



3月21日「神々と男たち」を観る。
1996年アルジェリアで起きた武装イスラム集団によるフランス人修道士誘拐・殺害事件を元に、その修道士達の「最後の数日間」を描いた映画。本当に命の危険を感じるような危機的状況に陥った際の、信徒達の信仰に対する信心を問う映画。本当に危機的な状況は、かなり終盤に突然訪れる。そこで信心を捨てて生き延びる者もいるが、映画はそうした人々を「弱い人間」と断罪したりはしない。「近づいてくるヘリの音=死」「最後の晩餐」など、幾つかの「映画的」としか言いようがないシーンの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。


3月23日 第83回センバツ高校野球大会、開幕。
開会式で創志学園高校の主将の生徒が選手宣誓で「生かされている命に感謝」と言っていた。彼はそこで“何に”「生かされている」と思ったのか。



4月12日「サラエボ,希望の街角」を観る。
サラエボで同棲生活をおくる、とあるカップル。男はある出来事をきっかけにイスラム原理主義に傾倒していき、それを良く思わない女との間で軋轢が生まれる。全て元凶はユーゴの紛争にある、と結ぶクライマックスのシーンが身震いするほど素晴らしい。沈黙は饒舌に語る。


震災後、世界各国から寄せられた「こうした事態にもパニックに陥らない日本人に感心した」という趣旨のコメントをネット経由でよく見かけた気がする。
日本人に「あなたの宗教は?」と聞くと、その7割は「無宗教」と答える、というような話を聞いたことがある。でもおそらく、その7割の人たちは「信仰の尊さ」を否定はしないような気がする。
日本人は信仰という概念を否定はしないし、己を差し出して過度にのめり込むようなこともない(もちろん個人差はあるだろうけど)。そこに「パニックに陥らない」秘密があるのではないか。最近、なんとなくそんなことを考えた。