午前十時の映画祭「フォロー・ミー」


TOHOシネマズ系のシネコンで上映中の「午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」という企画で鑑賞。
妻:ベリンダ(ミア・ファロー)がウィークデイに怪しい外出をすることが多くなり、いてもたってもいられなくなった会計士の夫:チャールズ(マイケル・ジェイストン)は、ある探偵(トポル)に妻の内偵調査を依頼するのだが・・・というお話。
確か「Shall We ダンス?」で登場する探偵(柄本明)の事務所に、この「フォロー・ミー」のポスターが飾ってあって、それは竹中直人と周防監督が「『フォロー・ミー』のポスターが貼ってあったらいいよね!」と意気投合してそんな運びになったらしいのですが、よくよく考えたらこの映画のポスターを嬉々として自分の事務所に飾る探偵ってどうなんだろ・・・?と思ってしまいます。ですが、改めて本作を見直すと「Shall We ダンス?」はちゃんと「フォロー・ミー」の男女逆転版となっていて、キャロル・リードも草葉の陰でニヤニヤしているんじゃないかしら、というぐらい、良いオマージュだった気がします。
一番印象的だったのは、この時代特有の、まだ許容範囲内だったであろう“イノセンス”。この映画が公開された1972年では有効だった、トポルとミア・ファローが心を通わす幾つかの素晴らしいシーンは、おそらく現代だと“ストーキング”という言葉に変換されてしまう。もちろん、現代にリメイクしても、俳優や演出の力でそこをカバーすることは可能でしょうが、この当時、72年という瞬間を生きていた二人の俳優を通してアウトプットされた無邪気さとは、また違ったものが出来上がるような気がします。当然ながら、その背景として二人を彩る、ロンドンの街並み、庭園、グリーンハウス、様々なストリートの標識、映画館・・・etc、そしてそれぞれのシーンで流れるジョン・バリーのスコア、パッケージされたその全てが美しい。
10年前ぐらいにWOWOWで観ていたのでラストなども分っていたけど、トポルが「10日間かけて彼女を取り戻して」という提案をする辺りで、ボロボロ泣いてしまいました(この時、そ知らぬ顔をしているミア・ファローがすごく良い)。各地のTOHOシネマズ系シネコン順次上映するようなので、未見の方は是非ご覧になったら良いと思います(残念ながら現時点で日本ではDVD化されていません)。


↑良いシーンを抜粋してあるので、未見の方は途中で見るのを止めた方が良いかも。

Follow Me! (Barry)
Follow Me! (Barry)
posted with amazlet at 10.02.07
Original Soundtrack
Harkit (2009-03-03)
売り上げランキング: 82707