慰めのディルドー「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」


月刊誌『ミレニアム』のジャーナリスト:ミカエルは、ある実業家の不正告発記事が原因で、名誉毀損の有罪判決を言い渡されてしまう。そんな彼のもとにある調査依頼が舞い込む。依頼主は大財閥ヴァンゲル・グループのヘンリク。40年前、16歳にして突如失踪してしまった姪ハリエットの迷宮入り事件を、再び独自に調査して欲しいという依頼だった。
一方、ヘンリクの依頼でミカエルの身辺調査を行っていた調査員:リスベットは、調査終了後も個人的に興味を抱き、ミカエルのPCをハッキングし続ける。そして、ある手がかりの謎解きに気付いたリスベットは、ミカエルにメールで情報を提供するのだが・・・というお話。
「スウェーデンのベストセラー長編ミステリの映画化!」「ということはスウェーデン映画!」「なんか・・・敷居が高そう!」...etcといった理由で二足を踏んでた訳なんですが、id:yakoさんとかid:honさんとか、いつも信頼できる映画レビューを書いてらっしゃる方々の感想がポツポツ上がってきたので観に行ったらコレが大正解。地味だけど骨太で誠実な、ミステリ/サスペンスの佳作という感じでした。
この映画は、簡単に言ってしまえば「差別主義者が権力を握ると、ろくなことにならない」というテーマを、二重の構造で描いている。リスベットは保護観察下にあり保護監察官からセクハラを受けている。ミカエルは事件の真相を追うことで、そのおぞましい黒幕と対峙することとなる。一見、身辺調査をきっかけに偶然結びついたように思える二人だが、こうしたテーマを引きの目線で見てみれば、原作者、そして本作の監督の言いたいことはよりクリアになって現れる。
中盤、リスベットが果たす復讐は、今後、映画史に残るであろう名シーンであると言えるでしょう。彼女が手にした“それ”を“正しく”使った時、間違いなく映画における“ある基準”が上書きされたような気がしました。