ダージリン急行(@チネチッタ)


ウェス・アンダーソンという人は、「私立高校」「NYの天才一家」「海洋研究所&探索艇」などと、クローズドなコミュニティを舞台に映画を撮ってきた人で、その「閉じられた空間」であったからこそ効果があったオフビートなテイストを、巧妙に作品に反映させてきた人でした(この辺の皮膚感覚は、同世代であるスパイク・ジョーンズミシェル・ゴンドリーなどとも通ずるところ)。しかしながら、その「閉じられた空間」での「閉じられた感覚」を、今作では現実のインドに向けていて、それがイマイチ上手く機能していないように思えました。
というのも、「自分の内部を変革できるのは、きっと外部(インド)にあるに違いない!」という漠然とした理由で、かの地に降り立ったアメリカの裕福な三兄弟にはちっとも感情移入することが出来なかったし、現地の人々の造詣が「基本的には素朴で、でもちょっと得体が知れない」という、恐ろしく紋きり型のインド観/インド人像として描かれているのもちょっとアレだなぁと思ったし、いくらなんでも「甲斐甲斐しくついてまわるポーター(?)のインド人達」という描写に至っては、フォーブスの世界長者番付トップ10内に4人もインド人がランクインする2008年に「ちょっとそれはネェんではねぇのか・・・」という気がしました。
ただ、作家というものは何も現実を描かなくとも良いわけで、当然自分の作品でのインド観を表現するための取捨選択というのは大事であるし、ウェス・アンダーソンの世界の中でのファンタジーという観点からすれば成功しているように思えます。いわば踏み絵的な作品。残念ながら自分はその急行にノレ(乗れ)ませんでした。
私が考えるインド:chiru改めチランジーヴィー先生 動画集
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1.インドのスリラー 2.ただただ絶句 3.イタロディスコ風で悶絶 4.ブラックエクスプロイテーション的でカッコ良い!