Ｓ君の思い出 〜プラネット・テラー〜

「プラネット・テラー in グラインドハウス」を観ました（＠TOHOシネマズ横浜）。

この映画を観て、どうしようもなく懐かしくなった人物いた。中学時代の友人：Ｓ君である。
Ｓ君とは同じ中学校で、同じ塾に通っていて、中学を卒業する頃に仲良くなった。何気なく映画の話をして、恐らくお互いに「あ、コイツ話せるな」という感じを察したのか、探りあいをするように「アレは観た？コレは？」と作品を挙げていった。二人で最初に観た映画は確か、中三の夏休みに（高校受験を控えていたのでコッソリと）観に行った「インディ・ジョーンズ／最後の聖戦」だったと思う。
Ｓ君と私は高校生になり、高校は別々だったが、家もさして離れていなかったので、友好関係は続いていた。時は80年代末期、バブル真っ只中。レンタルビデオブームが訪れ、300円前後でビデオがレンタルできる時代がやってきた。Ｓ君の家の近所にはレンタルビデオ屋が二軒あった。Ｓ君と仲良くなる前から、自分も足繁く（自転車で）通ったレンタルショップである。コンビニも近くにあった。私の家は団地であったがＳ君の家は一軒家。夜、両親は２階の寝室に上がってしまう。小学生の頃のテレビの洋画劇場時代を経て思春期に突入し、からっからのスポンジのように恐るべし吸引力を備えた私とＳ君にこういう環境を与えるという事は、馬の前にニンジンをぶら下げるも同じである。週末はほとんどのようにＳ君の家に泊まり、夜中に借りてきたビデオを観た。
「ブロブ」「ヒドゥン」「クリッター」「トレマーズ」「ダークエンジェル（ドルフィーのね）」「フォード・フェアレーンの冒険」、エルム街シリーズ、13金シリーズ、シュワ物/スタローン物/チャック・ノリス物/ジャッキー物などはとりあえず観る、ヴァンパイア物が好きだったＳ君には「フライトナイト２部作」「ロストボーイ」などを教えてもらい、幾多のホラークラシックスや「ゾンビ三部作」を順を追って見た。Ｓ君の両親が出掛けている日に、二人で示し合わせて学校をサボって観た「サボテン・ブラザーズ」に笑いすぎて（透明の騎士の所で死ぬかと思った）喘息の発作を起こした事もあった。
でも、永遠に続くかと思われたＳ君との蜜月も、高校を卒業し、お互い学生になったり、Ｓ君に彼女ができたりして（Ｓ君は西島秀俊似の色男で、よく遊んでいた高校時代でも彼女がいたりしたけど）、どんどん疎遠になっていった。「パルプ・フィクション」は先行レイトショーで観てゲラゲラ二人で笑っていたけど、「フォー・ルームス」や「フロム・ダスク・ティル・ドーン」は学生時代の友人と観た。Ｓ君は「彼女と観た」と言っていた気がする。
Ｓ君と最後に一緒に観た映画は確か「スポーン」だった気がする。映画の内容はほとんど覚えていないし、その時にＳ君と何を話したのかも、もう全然覚えていない。
あれからもう、10年が経とうとしている。お互いの携帯の番号を知らないのは、お互いに携帯を持つ前に連絡が途絶えてしまったからだ。「プラネット・テラー」を観たら、急にＳ君が懐かしくなった。

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