カザフの野呂圭介に袖なしのGジャンはいらない 〜ボラット〜

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習を観ました(@109シネマズMM)

ドルフ・ラングレンの代表作に「リトルトウキョー殺人課」という映画があります。自分のルーツに無知な日系新米刑事(ブランドン・リー)と、日本通のアメリカ人刑事(ドルフィー)が、ロスの日本人街で起こった事件を追うバディムービー。ナイトクラブ(屋号「盆栽クラブ」)に捜査に出かけた二人は、店内でなんと女体盛りに遭遇します。そこで、ドルフィーは「このぐらい日本ではデフォルトだ」とばかりに、こう言い放ちます。
「皿も生だ」
「ボラット」はカザフスタン(架空の国、というエクスキューズ付き)のテレビリポーター:ボラット(サシャ・バロン・コーエン)が、アメリカを横断しながら、様々な人にインタビューを試みるというモキュメンタリーです。上記で例えるなら、日本に来た中東系の男が寿司屋に赴き「(それがどんなにシャレが通じなそうな怖そうな板さんでも)女体盛リ、クダサイ。女体盛リ、タベタイデス」と注文する、そんな感じの苦笑とヒヤヒヤが繰り返される約1時間半。
「ジプシーを殺せる車を、プッシーマグネット付きの車をください」と人の良さそうなカーディーラーに迫って困らせたり、「イラクをトカゲ一匹這うことができないぐらい焼き尽くせ!」とロデオ大会の観客を煽ったりと、映画で取り上げられるエピソードを例に挙げると悪意があるようにしか思えません。だがしかし、一見アメリカを馬鹿にしているように見えても、それが後に作品を支持するであろうアメリカ人に向けられていることを、ケンブリッジ大卒のサシャ・バロン・コーエンは忘れてはいません。彼は、劇中に登場する個性的な市井のアメリカ人を凌駕しようと、全裸で走り回る事も辞さない過剰なパフォーマンスを繰り返します。
一方でコーエンは、ボラットという「イノセントかつエキセントリック」なペルソナを通じて「思想や発言は属する環境や団体に起因するもので、その個人とはコミュニケートできるはずだし解りあえるはず」と、(差別ネタや下ネタという武器を照れ隠しに)主張しているような気がします。多分、演じる俳優によっては嫌味っぽくなるだろうし、痛々しくなりそうな所を、絶妙な“愛嬌”というバランスで回避しているのにも関心しました。

アリ・G [DVD]

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彼の前作、アリGでも、ボラットの姿は(一瞬ですが)確認できます。はっきり言ってユルい(ユル過ぎる!好きだけど)コメディですが、バンバータの「プラネットロック」を効果的に使用しているので、ヒップホップファンは必見です!









(この感想全部に対して)・・・・・・ナァァァァット!