S.J.映画

ミランダ・ジュライの長編初監督作品君とボクの虹色の世界を観ました。
「第二のソフィア・コッポラ」「パートナーはマイク・ミルズ!」「自身もパフォーマンス・アーティストであるミランダが、自己を投影したような主人公を演じる!」とか、もう前情報だけで「え〜もうそういうのお腹一杯ですやーん…」とか思ってロードショー公開時は避けてしまったのですが、これが中々傑作でした。空中キャンプさんがこの感想で仰っている通り、タイトルロールから凄くワクワクしました。「バッファロー'66」がD.T.映画の傑作ならば、この「君ボク〜」はS.J.映画の傑作だと思いました。

君とボクの虹色の世界 [DVD]

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映画のテーマは、00年代の作家がこぞって選ぶ「郊外に暮らす、不器用な人々の不器用な関わりあい」というもの。それぞれの想いは、交差したりしなかったり。複数のエピソードが、主人公クリスティーンを中心に綴られていきます。彼女は高齢者タクシーの仕事をしながら、ビデオ・インスタレーションの作品を制作しているのですが、これがマヌケで良かったです。ライヴ会場のオーディエンスの写真に「みんなー!アタシのこと好きぃ〜?!!」「YEAH!!!」みたいな音声を被せ、その両方の掛け合いを1人で延々やる、といった脱力テイストの中二っぽい感じ。
で、物語の一つの推進力として、「クリスティーンが一目惚れをしてしまう男性」というキャラクターが登場するのですが、当然上記のようなパフォーマンスをしているような人だから、デートもしてないのに「きゃ、もし付き合うことになっちゃったらどうしよう☆」という妄想もどんどん炸裂。この当たりが非常にS.J.っぽくて面白いです。
で、このお相手役の男性、どっかで見覚えがあるなぁ…と思ったら

あー!アイデンティティの人か!(もしくは「フロムダスクティルドーン」の!)
ミランダ・ジュライ演じるクリスティーンは、劇中だと非常に冴えない感じですが、インタビューの映像などの彼女はとてもキレイです。

ミュージシャンとしてアルバムも出していたりするミランダ・ジュライですが、「君ボク〜」の前に短編を何本か、あとは“いかにも”過ぎる人脈で、スリーター・キニーのPV(名曲!)を撮っていたりするみたいです

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