郊外残酷物語

期待が大きかった「ナチョ・リブレ」が(期待していただけに)あまりにもアレレ…な出来だったので、脚本家マイク・ホワイトの落穂拾いとして「グッド・ガール」を観てみました。DVDのジャケットだけ見ると「ジェニファー・アニストン主演のラブコメ」以上でも以下でもないという感じですが、これがとんでもない大傑作でした。郊外の閉塞感を見事に切取った秀逸なブラックコメディ/ドラマだと思いました。
物語は至ってシンプル。ジェニファー・アニストン演じる主人公のジャスティンは片田舎のディスカウントストアで働く主婦。平凡な毎日にウンザリしていた彼女は、同じ店で働く青年ホールデンと親しくなり、遂には一夜をともにするが・・・というお話。
あらすじだけ聞くと、100万回ぐらい繰り返されてきたであろう「年上の女と若い男の不倫物」以上でも以下でもないという感じですが、やはり“神は細部に宿る”とでも言いましょうか。まず、田舎町のスーパーのダレた雰囲気を、働く人々や来店する常連客などを中心に描いていき、そこへジャスティンに対して無関心な夫とのやりとりを絡め、彼女が退屈な日々に心底ウンザリしているという様子が巧妙に綴られていきます。
「誰か私をここから救い出して!」そんな彼女の前に出現するのが、ジェイク・ギレンホール演じる青年ホールデン。

青年とはいえ、いい大人がライ麦畑でつかまえてに感化されすぎて自らを“ホールデン”と名乗る(つまり仮名!)激安っぷりが最高です。作家志望の青年に、一時の迷いで体を許ししてしまったジャスティンだったが、ホールデンの「旦那と別れて僕と一緒に逃げよう」なんていう思い詰めっぷりが徐々に痛々しさを増していきドン引き。ある人物に不倫の事実を握られ、文字通り彼女は八方塞の状況に追いやれていきます。
単純なお話も、主人公が置かれる環境や関わりのある人々によって、如何様にでもドラマチックになる。そんな成功例をまざまざと見せ付けられたような気がしました。

この映画では、登場人物たちが上記画像のようなアイスブルーのジーンズを愛用するなど、とにかく(意図的に)ダッサダサの格好をさせられているんですが、日本ってユニクロや無印の普及で、こういうジーンズ履いている人はあまり見かけなくなりましたよね。

グッド・ガール [DVD]

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