Cut Chemist JAPAN TOUR 2006
10/6(金)に観てきました。実はJURASSIC 5を3回(初来日のクラブチッタ、2nd発表後の渋谷AX、04サマソニ)観ているので、彼のスピンを見届けるのは4度目ということになります。しかし、今回はソロアルバム発表後の一人のミュージシャンとしての“ライヴ”ということで「どんなもんだろう?」と興味津々だったのですが、蓋を開けてみれば別にバンドなどいるわけでもない通常のDJセットでした。いや、それはもちろん彼のことなので「通常」という枠からははみ出し過ぎているぐらいはみ出していたのですが。
まず前座はライムスターのDJ JIN。「アパッチ」やら「イッツジャストビガン」など、割とベタな選曲。「B-BOYイズム」でシメて、間髪入れずオーサカ=モノレールのライヴへなだれ込みます。ホーンセクションを加えたJB'sマナーのファンクバンドで、フロアを徐々に温めていきます。ヴォーカルの人の奇妙なダンスに見入っていると、次はロマンクルーの登場。そのまま残るオーサカ=モノレールの生演奏の元でラップ。スペシャルゲストには何とMummy-Dと宇多丸師匠も登場し、熱気冷めやらぬままショウは一端幕となりました。
で、ここでセットチェンジ。といってもステージ後方にあった台(本当に黒い垂れ幕のかかったただの台)が前方に運び出されて、ここで「ああ、使用するのはターンテーブルだけなのか」ということがわかり、少しだけガッカリもしました。しかし、この台の上にある限られたガジェット(確認できたのはタンテ3台、CDJ、サンプラー、ラップトップ)をフル活用して、カット・ケミストはとんでもないショウを繰り広げたのでした。
基本的に、先日発売された「THE AUDIENCE'S LISTENING」の曲をかけつつ、合間を彼お得意のビートの際立った濃いファンクネタで繋いだり/被せたり/2枚がけしたり擦ったりするのですが、その緻密な展開には正直度肝を抜かれました。止まる事のないグルーヴに次ぐグルーヴ。聴いた事もないキックにスネア。タムの連打。絶妙なタイミングでビートに被さってくるヴォーカルやギターやベース、ヴァイヴやホーン。恐らく、両の手を忙しく動かしながらも右脳と左脳は「あのビートだったらこのぐらいのBPMだから次はあれで、その次はこれで、その次はあれをかけたいけどビートが被り辛そうだからカットインで」とフル回転しているはずです。
例えば、曲の終わりが近づいたらクロスフェーダー右から左に振って次の曲へ。ロックなどをただかけるだけでもDJです。しかし、この日のカット・ケミストのプレイと言えば「曲の間に休む」などという行為はほとんど見受けられず、こうした絶え間ないエネルギーの放出は、楽器を演奏することと何ら変わりはなく、それは紛れもない“ライヴパフォーマンス”だったと思います。
クライマックスは、ステージからマイク片手に降りてきたケミストさん、観客を3人選んで「名前は?どこから来たの?」と聞き、それをその場でサンプラーに録りビートに乗せて氏が鬼のようにコスる、という、彼曰く「ゲームショウ」を披露。怒涛のセットを約1時間程で終え、一度ステージ袖に引っ込み、アンコールに応えて登場した後は「Jurassic 5のトラックに使用した元ネタ曲をかけ→そして実際のJ5の曲」という解体&解説ショウ。これも非常に盛り上がりました。そして、やはり彼の心は4人のツワモノMC'sと共にある、ということがよく分かった気がします。
終演後は、ステージ前の柵まで降りてきて律儀にサインタイム。上記のwikiに載っていた画像と同じTシャツを着ていました。風貌からも垣間見えますが、本当に気さくな兄ちゃんという感じでファンとの丁寧なコミュニケーションに時間を惜しまない彼は、思わずチケット(チケットってねぇ…と自身に突っ込みを入れつつも)を差し出した私にも嫌な顔ひとつせずサインをしてくれました。
すげーイイ人!これからも付いていきます!
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