好き好き☆ヘルメット!


ジョン・ステイナーと言えば彼が在籍していたHELMETを紹介せねばならないでしょう。確か初めて聴いたのは伊藤政則が「パンテラの前座のバンド」としてPVを紹介していたのが最初だと記憶しています。第一印象は地味なカッコの兄ちゃん達がザクザクとリフを刻むだけで「何か淡々としてるな」ぐらいにしか思わなかったんですよ、高校生でメタル経由グランジキッズだった僕は。コレがとんでもない間違いである事に気付いたは、映画「ジャッジメント・ナイト」のサントラでのハウス・オブ・ペインとの共演曲「Just Another Victim」を聴いた頃でしょうか。

JUDGMENT NIGHT

JUDGMENT NIGHT

まずドラムの音が硬い硬い。スネアっていうか、メタルパーカッションみたいなカンカンした音にドッスドスのバスドラ、そしてサイレンみたいなギターが唸りをあげ、後半はエヴァーラストのラップが絡んでくるという、当時20歳そこそこの血気盛んな若者だった自分には馬の前にぶら下げた人参みたいな音源でした。両手をこう、交互に前方に掲げて「HOLY DIVER!I'M A SURVIVER!FEELING LIKE DeNIRO IN“TAXI DRIVER”!!」と真似したモンです。
そして、彼らはメジャーの2ndアルバムとなる「ベティ」を発表します。

BETTY

BETTY

やっぱり真っ先に耳に飛び込んできたのはステイナーのドラムの音でした。何これ?!「Just Another Victim」では飛び道具的にカンカンした音でしたが、今度はいわゆる普通に鳴ってるスネアの音が全編に渡ってカンカンです。どんだけビンビンに皮を引っ張ったらこんな音が鳴るの?っていうぐらい凄い音してます。キックもやはりドッスンドッスンと深い。90年代のロックアルバムで「もっともエグいドラムが鳴っているアルバム」だと思います

Meantime

Meantime

話は遡って自分が高校生の頃「淡々としてんなー」ぐらいにしか聴こえなかったメジャーの1stアルバム「イン・ザ・ミーンタイム」は、今聴き返すとそのリフの構築が物凄く秀逸なアルバムだということがよく解ります。ヘルメットの中心人物、ペイジ・ハミルトン(↑画像一番左の人)は大学でジャズを学んだ人です。バークリー・メソッドやらモーダル/コーダルなんかもかじってることでしょう。そんな人が鳴らすへヴィロック。ザクザクとリフを繰り返し刻む事で生み出される無限のグルーヴを発明したハミルトンの功績は、ヘヴィロックがブームとなって雨後の竹の子のように沸いて出た後続のバンドへの影響を考えると、それはそれは計り知れないモノがあると思います。そんなハミルトンの理想を文字通り縁の下で支え、鉄壁のグルーヴを完成させたのがジョン・ステイナーのドラミングだったという事実は言うまでもないでしょう
上記の「ベティ」には、自分が最も好きなヘルメットの曲が収録されています。それは「Biscuit for smut」という曲です。この曲は、彼らの曲としては少々異色なファンクを意識した曲であり、そのイビツさがとてもカッコ良いです。踊れます。

ヘルメットはその後、メジャー3rd「AFTERTASTE」をリリースしますが、もう「べティ」ほどの輝きは見受けることが出来ず(良いアルバムだと思いますが)、このアルバムを最後に解散。そしてつい一昨年、ドラムにジョン・テンペスタ、ベースにフランク・ベロという、一時期のメタルにウツツをぬかした人には夢のような面子で再結成したのですが、これでもやっぱり自分が「これ!」と思えるヘルメットではありませんでした。やっぱりバンドにタイミングとかピークって往々にしてあるもんなんですねえ。

Aftertaste

Aftertaste

Size Matters

Size Matters