「サーティーン」を観ました。

「2枚で1980円!」シリーズなので、「バス男」とセットで購入したDVD。いわゆる“積み木崩し”モノですが、退屈せずに興味深く観る事ができました



実話が元になっているこの作品では、中学校で一番の憧れの女子生徒イーヴィーと仲良くなったさえない女の子トレイシーが、共依存的に非行へと暴走していく様が描かれていきます。二人の少女にスポットを当てつつ「自分本位のお母さん」「お母さんの彼氏と同居」「離婚して素っ気無くなった実の父」など、二つの家庭環境の様々な問題にも焦点を絞っていきます
主人公のトレイシーは、母親が同居させる彼氏(出所したて)を「ヤク中!」と罵り、嫌悪の感情を剥き出しにします。母親の「お母さんだって女」という主張は真っ当過ぎるぐらい真っ当ですが、思春期特有のアンバランスさの前には、けんもほろろです。もちろん非行を繰り返す少女に対して「ダメ!」と諭して治まるなら問題はありませんが、映画のように加速していく不安定な精神状態では自分で気付くまでは止まれないので、そういう意味合いで言えばトレイシーは悪くはない(というか、責めた所で…という話)。勿論、誰と付き合おうが同居しようが自由なので、お母さんだって悪くはない。しかし、どっちが、一体誰が“折れることが可能なぐらい余裕があるか?”と考えれば、おのずと答えは見えてくる気がします。「サーティーン」は、そうした物事が深刻化していく中で、親と子が取り逃す数々の分岐点を「なんてタイミングが悪い」「それを言っちゃあオシマイ」などと、突っ込みを入れながら見ることができる映画でもあると思います
ローティーンの「わー!買い物いしたるでー!」というワチャワチャとした感じや、色々ありながらもお母さん(ホリー・ハンター!)と付かず離れずの感じなどがよく出ていて、この辺りは女性監督キャサリン・ハードウィックだからこそ描けたのではないかと思います。彼女はこの後に「ロード・オブ・ドッグタウン」を撮りますが(感想)、ドキュメンタリスティックな手法をベースに描いた「サーティーン」と比べると、確実に上手くなっているなぁ、と感じます

サーティーン あの頃欲しかった愛のこと [DVD]

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あと気になったのが、中学校で“一番ハクいスケ”イーヴィーはラテン系だし、“目を引くイケメン”っていう記号の男子はほぼ全員ニガタン、トレイシーが付き合う男子もニガタンだし(くどき文句がヒューマンビートボックス!)、もはや白人ってマイノリティなんですね
追記:公式がまだ生きてました。
http://www.foxjapan.com/movies/thirteen/