「フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い」を観ました(@TOHOシネマズ川崎)。


主役が白人という事を除けば、凄く真っ当なブラック・エクスプロイテーション映画でした。お話の展開のザックリ加減も、登場人物たちがとる突発的な行動も含めて


つまり、今、70年代スタイルのブラックエクスプロイテーションをやると色々と破綻が生じ、現代劇としての整合性を削ぐケースも往々にしてあるが、役者やアクションなど、色々な工夫で何とかそれを乗り切ることも可能、という事を示しているような作品でもあると思いました
監督のジョン・シングルトンは、シリアスな「ボーイズ’ン・ザ・フッド」で若干22歳で監督デビューを果たし、当時は「黒いスピルバーグ」と呼ばれた人です。その後、色々と低迷した時期もありましたが、アクション路線へ転向した「シャフト」のリメイクや「ワイルド・スピードX2」などを経て復活の兆しを見せ、本作「フォー・ブラザーズ」に至るわけです
そんなシングルトン自身が、黒人というアイデンティティを踏まえつつ、でもアクションや娯楽作を撮りたい、と考えた場合、ブラックエクスプロイテーションに行き着くのは至極真っ当な成り行きであるのでしょう。雪が降りしきる中でのカーチェイスや住宅街での銃撃戦など、アクションで見せ場を作りつつ、「盗みイクナイ!」「食事は行儀良く食べなさい!」「裏切り者は犬にも劣るから犬のように床で飯を食え!」というセリフや、4兄弟がレコードプレイヤーでモータウンの7インチを聴いたり、といったニガタンセンスを随所に散りばめ、汚職警官に「Officer Down!容疑者は黒人の青年…」とウソの証言を言わせたりするシーンを象徴的に撮ってみせる。作品的には必ずしも成功しているとは言えない気もしますが、古き良きブラック・エクスプロイテーションを「コメディではなくドラマでやってみよう」という意気込みを感じた作品ではありました
ちなみに本作は、ジョン・ウェインの以下の映画のリメイクになるそうです(とは言っても、「兄弟が母親の復讐を果たす」という設定を借りているだけのようですが)。

エルダー兄弟 [DVD]

エルダー兄弟 [DVD]