振り向けばフリーマン

サマーシーズンの映画は一通り観てしまったのですが、気がついたらモーガン・フリーマンが出演している映画を4本も観ていました。別に彼目当てでもなんでもないのに、気がつけばそこに居る俳優、モーガン・フリーマン。どんな映画でも途端に溶け込んでしまう俳優、モーガン・フリーマン。浅草寺で煙を頭にかぶるモーガン・フリーマン。秋葉原でプラズマテレビを値切るモーガン・フリーマン。モスバーガーでナンタコスをオーダーするモーガン・フリーマン。漫画喫茶からブログを更新するモーガン・フリーマンetc…
そう、振り向けばそこには彼がいるのです。今回はワタクシが最近観た(というか観たら居た)、フリーマン映画を振り返ってみることにします



まず6月のフリーマン。イーストウッド演じるフランキーの旧友にして元ボクサー、フランキーと共にジムを経営するエディを演じていました。ここでの彼は物語の語り部にして、物語のクライマックス、フランキーがとる重要な行動を陰から「ジーッ」っと見ていたりします。実はこの映画はフリーマン目線のフリーマン映画なのではないでしょうか?とにかく、彼が他の追随を赦さぬ「キング・オブ・語り部」であることを証明してくれる映画でもあります



7月最初のフリーマン。ウェインコーポレーションの最高経営責任者、ルシアス・フォックスを演じます。ブルース・ウェインも信頼を寄せる技術屋さんです。例えミスをしたとしても「クスッ」っと笑って見逃してしまうような可愛いミス以外は決してしない、困った時に頼れる「キング・オブ・懐刀」っぷりを披露しています



7月2番目のフリーマン。「えっ、どこに出てたの?!」と仰る方も多いことでしょう。そう、彼はオープニングとエンディングのナレーションを担当していたのです!!それにしても「オチをナレーションで説明する」っていう映画を凄く久し振りに観た気がします。画像は「志村、後ろ!!」的なトム様



7月最後のフリーマン。恐らく彼の出演作品の中で、末代まで語られるであろう怪演でしょう。決して彼が変な芝居をしている、という訳ではなく、作品自体がスゲエ変な映画なんですよコレ!基本はジェット・リー主演のカンフー映画なんですが、そこにどういう訳かフリーマン演じる盲目のピアノの調教師が絡み、彼や彼の娘を通じて主人公ダニーのは愛や自由意志を学びます
とにかく「黒人・ピアノ調教師・盲目の覚者」「とってもわるいギャング」「無垢な娘」「無垢な大人」「猛者たちのデスマッチ」といった記号に次ぐ記号のオンパレードが凄まじく、作家(脚本を書いたリュック・ベッソン)が無意識で生み出すのメタ構造にクラクラしていると、フィジカルなのでメタになりようがないガチンコのカンフーシークエンスが登場し、そしてそこにはマッシヴ・アタックのハイブリッドなスコアが被さり…といった具合に、もう色んな要素がバランバラン。観ていると頭がグラングランしてきます。これが70年代の香港映画だったら何の不思議もありませんが、バリバリ00年代の映画というのが素晴らしいところ。近年稀に観る怪作でしょう



いかがでしたでしょうか。これからも無意識にモーガン・フリーマン出演作を「うっかり」観ている可能性は十二分あるでしょう。そんな時の為に、ワタクシは皆さんに「モーガン・フリーマン・メモ」を常日頃から所持することをお勧めします。

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