「アビエイター」を観ました(@藤沢オデオン)。

観に行く前に各方面から「かなりダメ」という話をチョイチョイ聞いてはいたんですが、「マーティン・スコセッシが監督をした映画」とあらば、どんなに駄作とあっても我がマナコで確認しない訳にはいかないのですよ。それが「グッドフェローズ」に映画人生を狂わせられてしまった者の宿命なのです。今後スコセッシが「キャッツ&ドッグス2」みたいなの撮ったとしても、私は必ず劇場に観に行きます。何故ならそれが「マーティン・スコセッシが監督をした映画」だからです。
で、観たんですが・・・
う、うん、まず良かった点を幾つか挙げますよ。撮影のロバート・リチャードソン、時代毎に微妙にトーンを変え、わざと当時のテクニカラーっぽい発色にしたりして「さすが」と思いました。脇役陣も、アラン・アルダキャサリン・ヘップバーン役のケイト・ブランシェットなどが素晴らしかったです。
そして、今回のギルティ・パーティ
ディカプリオとジョン・ローガン(脚本)てめええええええ!!!!
レオ様がマズイのは「テンパって徐々に精神の均衡を崩していく」というハワード・ヒューズを大真面目にやり過ぎのところ(画像の眉間のシワ参照)↑常にあんな顔ですよ。ここはやっぱりヒューズに対する
「頂点を極めた者が体験する極度のプレッシャーから狂気へ…(レオ@眉間にシワで)
「うわ〜イキ過ぎの人ってオモシレ〜〜〜(スコセッシ@クックックと笑いながら)」
という感情移入の相違から来ているように思えてなりません。あと、事故後のヒューズを演じるには、レオ様は圧倒的に貫禄不足な気がします。
そして脚本家のジョン・ローガン。ヒューズは極度の潔癖症/接触恐怖症の人として知られているのですが、その性癖への焦点がかなり搾りきれておらず、非常に不満が残りました。だって、ばい菌が恐くて間接キスすらためらうヒューズなのに、数々の女性と浮名を流しても濡れ場らしい濡れ場は一切ナシ。「潔癖症/接触恐怖症の人のセックス」なんて、こんなオイシイ題材をスルーしてどないすんねん!(もっとも、これはスコセッシの責任でもあるかも知れませんが)
「キング・オブ・コメディ」の主人公ルパート・パプキンは、自分のことを才能溢れるコメディアンだと思い込み、その思い込みがイキ過ぎて、売れっ子コメディアンを誘拐し、強引に彼の代役を務めようとします。「アビエイター」も、基本構造は「キング・オブ・コメディ」と大差ありません。しかし、その題材を「ブラック・コメディとして描くか」「アメリカン・ドリームを体現した男のマジ史劇として描くか」という違いはあります。今回は、作品がビッグバジェットになり過ぎて、自分の思う方向に舵を取れなくなってしまったおじいちゃん:スコセッシの姿を見たようで、少し悲しくなりました。次回はもっと小規模な作品を撮ったらイイと思うよ…。

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