馬車道・伊勢佐木町・黄金町、ニューシネマパラダイス

黄金町の横浜日劇が、今月18日で閉館するそうです



日劇の前には関内MGAもヨコハマシネマソサエティも閉館しています。私的にこのニュースは非常にショックでした。一時代の終焉を感じます。というのも、ここ数年で関内近辺の映画館が軒並み潰れていっているからです。
そこで、せめてワタクシのツルっツルの脳内に留めておくためにでもと思い立ち、無くなっていった映画館たちに追悼の意味も込めて、そこで見た印象的な映画を挙げてみようと思います。

  • 横浜東宝会館

横浜は馬車道で歴史を誇った劇場ですが、母体の殿様経営体質ゆえ、改装や割引サービスなどの企業努力を怠ったためか、数年前に閉館となりました。桜木町のワールドポーターズ内に出来た「ワーナーマイカルみなとみらい」に客を取られたのが致命傷となったのでしょう。現在はマンションが建っています。
80年代のシュワ映画は東宝の独占状態にあったのか、ほとんどここで観ているような気がします。ここで印象的な作品と言えば「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」。小学三年生の一学期が終わった日、家に帰ってくるなり母親に「映画観に行くよ!」と暑い最中に手を引かれ、バスに乗って馬車道で降りた日のことを今でもよく憶えております。

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  • 横浜ピカデリー

一劇場としては、恐らく横浜で最大の座席数を誇った映画館。しかし、「床にこぼれたジュースが乾いてベタベタになっている」など、お世辞にも良い衛生状況とは言えなかった気がします(当時はそんな映画館ザラでしたけどね)。現在はここにもマンションが建っています。
ここで印象的だった作品は「グーニーズ」。カンペン買いました。「太陽の帝国」もここで観ていて「うわぁ〜自分と同い年ぐらいの子がエライ目にあっとる…」と軽いトラウマになりました(実際クリスチャン・ベールはタメ)。

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  • 横浜松竹

ピカデリーから数ブロックだけ離れた所にありました。ここにはあまり通った記憶がありませんが、座席が結構な傾斜を伴ったすり鉢状になっていて観易かった記憶があります。現在はパチンコ屋に。
この劇場で印象的だったのは何と言っても「アイズ・ワイド・シャット」。劇場で観ることが出来た唯一のキューブリック作品です。

  • 横浜オスカー
  • 横浜オデオン座

オスカーはゲーセンやカラオケボックスなど複合施設のビルにあった劇場で、オデオン座はオデオンビルにあった小さな劇場でした。
オスカーでは「マトリックス」を先行上映で「ほとんど予備知識なし観る」というシアワセな出会いをしています。もちろん、プラグに繋がれたスキンヘッドのネオが初めて起き上がるシーンで「え〜〜〜〜!」ってなりました。オデオン座では「デッドマン」。観終わった後に伊勢佐木町のヴァージンメガストアでニール・ヤングが手がけたサントラを買いました。

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  • 関内MGA(ex関内アカデミー)

伊勢佐木町の本通りから有隣堂の脇を曲がった所にあった小さな映画館。都内のミニシアター系の作品をよくかけていた劇場で、特集上映などもよくやっていました。劇場は2館あり、2つ目の方はもうホントに小さい!教室のホワイトボードぐらいのスクリーンでした(いやマジで)。
ここではATG特集と題し「青春の殺人者」をかけていましたが、フィルムは「雨振りっぱなし」という結構ヒドイ保存状態でした。ロードショウでは「バスキア」なんかを観たなぁ。

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  • 横浜日劇
  • シネマジャック&べティ

関内の駅を背に伊勢佐木町をズンズン歩いていくと、黄金町方面に抜けることが出来ます。日劇とジャック&べティは向かい合うようにして建っています。日劇は横浜では数少ない2番館、ジャック&ベティではやはりミニシアター系の作品を少し遅れて上映したり、古い邦画を特集していたりして、神代辰巳大島渚の作品などを観る事が出来ました。
ジャック&ベティで印象的だった作品は、ワタクシのHNの由来でもある「ブギーナイツ」。日比谷シネシャンテで一度観ていたのですが、「絶対に面白いから!」と地元の友人を誘って二度目の鑑賞しました。後は「ガタカ」に涙したり。昨年の韓国映画特集では「オアシス」に凍り付いたりもしました。日劇では「大作系3本立て」などをよく観ました。3本立てだと、昼頃に劇場入りして出るときはもう22時頃!よく売店でラスクを買い、腹ごしらえをしました。「キルビル」と一緒に「パルプ・フィクション」をかけていたことがあって、久々にスクリーンで観て感動した憶えがあります。

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関内MGA、ヨコハマシネマソサエティ、日劇、ジャック&ベティという軒並み5館が閉館の憂いにあったわけですが、これは全て母体である中央興行という会社の「もうダメです・・・」という悲鳴だったのでしょう。折りしも昨年末に「109シネマズMM横浜」というシネコンが新高島に登場した事を考えると、ミニシアターは本当に難しい位置に立たされているのだな、と実感せずにはおれません。
土地柄か、日劇では肉体労働者といった風体の人々を見かけ、上映中に思いっきり煙草を吸われスクリーンが見えなくなる「実写版ケープ・フィアーか?」といった経験もあります。しかし、劇場が無くなってしまうという今から考えれば、それはそれで良い思い出だったな、という気もいたします。そして、上記の映画館に通い詰めて得た教訓、それはトゥルー・ロマンスのような出会いは絶対にない」という事でした。チャンチャン。

日劇、シネマジャック&ベティの閉館までの上映スケジュールはコチラをどうぞ。
http://www.cinema-voice.com/