ジャケ買い百選 4
THE MAMAS & THE PAPAS 『PEOPLE LIKE US』
ママス&パパスが1971年に発表した事実上のラストアルバムです。この何とも黄昏たジャケ。格好は完全にヒッピーです。「彼らに何がしかの心情の変化があったに違いない!」と踏み、さしたる情報もないのに勢いで買ってしまった一枚で、結果は大当たり。ソフトロックの隠れた名盤と言える素晴らしい内容のアルバムでした。
フォークロックに乗せた爽やかな男女混声コーラスが絶大な支持を得ていたバンドですが、実はその内情、4人は泥沼の愛憎劇を繰り広げていました。ジョン&ミッシェルのフィリップス夫妻、キャス・エリオット、デニー・ドハーティという構成で結成されたグループですが、まずミッシェルとデニーが「イイ関係」になってしまいます。もちろん旦那のジョンとしてはたまったものではないですが、バンドはバンドでやっていかなくてはならない。そしてなんと!キャス・エリオットはママス&パパス結成前からデニーのことを想い続けていたりして、二人が「イイ関係」に発展したのを知ったママキャスはハートブレイキンです。そんなこんなで1968年にジョンとミッシェルが離婚。バンドは解散を余儀なくされます。
ところが、彼らにはまだアルバム契約が一枚分残っていました。仕方がないのでジョンは皆を形だけ呼び寄せ「再結成しました」とアナウンスし、別々にヴォーカルテイクを録音して後にオーバーダビングする、という手法でアルバムを完成させてしまいました。
これらの事実は全て購入後に調べて解ったのですが、正に必要に迫られての本領発揮だったのか、はたまた多重録音の虜になってしまったのか。お馴染みの鉄壁コーラスとメロウなソフトロックテイストが融合し、尚且つジョンのソングライティングセンスも如何なく発揮された大傑作となっております。