「SCRATCH」を観ました。

「これだけシーンが拡大した以上、一度成り立ちから現状までシッカリ検証する必要があるのでは?」と、「ヒップホップとは何ぞや?」を説いてみせた2001年のドキュメンタリー作品です
内容としては「チェケラッチョ!とかいうヤツ?」という人からDobble Dee&Steinski『レッスン3』オリジナルを探しています」という人まで、幅広く楽しめる作品になっていると思います。
グランドマスター・セオドアが偶然スクラッチを生み出す話から、機材の進歩や音楽シーンにおける需要の拡大と共に「DJ→ターンテーブリストへ」という流れを中心に、色んな人が出てきては色んな事を喋ってくれます
中でも印象深かったのがDJ SHADOW。彼が5年通ってやっと覗く事を許されたという、カリフォルニアのとあるレコード店の地下室が、とんでもない事になっています。私はいまだかつて、あんなにうず高く平積みされた夥しい数のレコードを見た事がありません。レコードだらけで人一人通るのがやっと、というスペースに鎮座し、シャドウが「This is just…It's my little nirvana.」と思い入れを語るパートが、かなりグッときたので抜粋します。

ネタ探しはいつだって真剣なんだ。ここに通い始めて11年になるかな。例えるならこの地下室は「音楽という文化の倉庫」だね。レコード1枚1枚が陽の目を見る時を待っているように感じる。自分のファーストアルバムはここからのネタが多いね。目に付くレコードには何か意味を感じるんだ。手に取ったのは運命かな、って。その分思い入れも強くなる
(中略)
ここにいると謙虚な気持ちになる。1枚1枚にそれぞれ敗れた夢が詰まっているんだ。注目されなかったレコードが何とも多いことか。だから自分も、作ったアルバムや他人のミックスを手がけて成功したとしても、「所詮、自分もこのレコードの山の一部にすぎないんだ」っていう初心をいつまでも忘れないようにしたいんだ

制作されたのが2001年なので、この後に猛威を振るう事となる「ヒップホップとエレクトロニカとの融合」に関しては何も触れていませんが、それに関してはもう少し時間が必要なのかも知れませんね。